野良猫幻想夢(上)

□新たな始まり
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【人間界】

トレイン消失の手掛かりを探し始めてから
こちらは1ヶ月が経過した。街の外れに
立ち尽くす6人のナンバーズ。

「………」

「やはり気配もない」

セフィリアとベルゼーはトレインの気配を
感じ取ろうと意識を集中しても彼と
認識出来るものは何も見つからない。
すると全く手掛かりが掴めない事に
苛立っていたバルドルは今日も吼えた。

「ハートネットの糞野郎が消失した場所から半径50Km付近にあった街を全部回って調べたが有力な情報なんて有りゃしねぇ!どんな手品使いやがった!?」

「音の気配にも感知しない……」

バルドルの隣に居たクランツも
セフィリアとベルゼー同様意識を
感じる気配に集中させて調べても
やっぱりトレインを感じ取る事は出来ない

「こりゃお手上げだねぇ……」

「セフィリアさん」

既に諦めかけている様子のジェノス。
そんな彼の隣に居たシャオリーは
今思っていた事をセフィリアに言う為に
彼女の名を呼ぶと閉じていた目蓋を開き
セフィリアは彼の方を向いて言った。

「何ですか?」

「気配も無くこれだけ捜索しても見つからないのであれば黒猫はもう亡き人なんじゃないんですか?」

「確かに死んでたら気配もねーな」

そう言いながらニヤけるジェノス。
だがその仮説にセフィリアは頷かず言った

「いえ……確かに傷は負わせましたが相手はハートネットです。動けるなら必ずどこかで傷を癒やす筈です」

「まさに猫だな」

するとその会話を聞いていた
ベルゼーも閉じていた目蓋を開き
思っていた事を全員に向けて言った。

「クリード捜索側のナンバーズからもまだ有力な情報は得ていないとの報告だ……同時に2人も消息を絶つのは妙だ」

「とにかく命を受けた以上私達はハートネットを見つけ出さなければいけません」

「もう少し捜索範囲を広げるしかないか」

「ケッ」

「………」

「なぁシャオ」

ジェノスはシャオリーにだけ
聞こえるようにボソッと言う。

「何ですか?」

「もういっそのことお前の得意な『変装』でセフィ姐騙してこの件終わらせねーか?俺はもう疲れた」

「それじゃあ僕が代わりに抹殺されちゃうじゃないですか。嫌ですよそんなの」

任務にやる気がないジェノスは
いい加減な提案を出すとシャオリーは
作り笑いをしながら却下する。

「ふぅ……」

まだまだ任務は続きそうだ……と
感じたのかジェノスからはため息が1つ。



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