野良猫幻想夢(上)

□Belief
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霊夢達が帰り暫く経つと時刻は夕食の
時間になり私室を移動するトレインと
フランは紅い廊下を歩きいつもの
部屋へと向かい扉を開いた。

一一一ギィィィ

「!……お疲れ様」

「あぁ」

入ると同時に目が合ったレミリアに
そう言われる。どうやら咲夜から全て
話しは聞いているみたいだった。

「モノにしたみたいじゃない」

「気に入らないがそこは紫に感謝しないとな……」

そう言いながら席に座るトレインとフラン

「無我を修得したんですね!」

美鈴の言葉にトレインは親指を立てる。

「明日からまた平穏な生活に戻れるんじゃないんですか?」

「平穏な生活……か」

修行も今日で終わる為明日からはもう
あの地下室に行くこともない……
そして平穏という言葉にトレインは
遠くを見つめながらそう呟くとフランは
顔を傾げながら隣に居る彼を呼んだ。

「トレイン?」

「俺はこんな生活が欲しかったんだなずっと……」

「?」

「今だから実感出来る……今の俺は幸せもんだ」

「どうしたんです?」

「急に改まって」

急にしみじみとした態度を取るトレインに
咲夜と美鈴はそう聞くと彼からは
それが当たり前で……でも本当は
とても大切で必要な事を言った。

「住む家も仲間も居て……今が生きてる気がする」

「そうねぇ……私達はいろんな運命が重なって今1つの場所に住んでいる」

「譬え血が繋がっていなくても私達は家族と何も変わりません」

「そうですね!」

「家族……かぁ」

レミリアや咲夜、美鈴の言葉にフランは
少し嬉しそうに笑みを浮かべると
トレインは何か決心を決めた様子で言った

「……家族にだったら話してもいいよな」

「「「?」」」

「……みんなに聞いてほしいんだ……俺の『過去』を」

トレインが決心したのは自分の黒き過去を
この場に居る全員に話す事だった……

「でもトレイン……」

「アナタ自分の過去の話しをするのあんなに嫌がってたじゃない」

咲夜に続きレミリアも彼が以前自分の
過去を話すのを嫌っていた事を自分で
言っていてそれを聞いて知っていたので
トレインにそう言うと返ってきた言葉は
全員に何か暖かさを感じさせる言葉だった

「家族なんだろ?お前らには隠し事をしておきたくないんだ」

「トレインさん……」

「………」

「いいわよ……話して」

少し嬉しそうな笑みを浮かべたレミリアは
テーブルに運ばれる夕食に目も呉れずに
じっとトレインの方を見続ける。

「……全ての始まりはあの夜からさ……」



不吉の黒猫

Sadness and wish
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