野良猫幻想夢(中)
□終わらない明日へ
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「トレイン…」
「アイツは…トレイン…みたいね…」
「醜態を晒してしまいましたね…」
「2人共久し振りだな。だが参ったぜ……一度は一緒に戦ったから分かるけどまさかお前ら2人でも歯が立たないとはな…」
「悔しいけど…完敗よ」
「返す言葉もありません…」
「援護してあげたいけど…こんな体じゃ」
「いいよ……あとは俺がやる」
そう言ってトレインは歩み寄ると阿修羅は
小町から離れてトレインと距離を取る。
「なんだ。槍は折られるか捨てられると思ってたが…」
「無用だ。これが武器ならここで潰しては惜しいしな」
「あっそ…」
「儂はお前と戦いたかったんだぜ?」
「………」
「やっぱり揺らがんか!その真っ直ぐとした瞳!!尚のこと気に入ったぞ!!」
「鬼に気に入られても嬉しくねぇっての」
「そう邪険にするな……鬼に目を付けられるのは良いことなんだぜ?思い出すぜ……その昔にまだ人間との信頼関係が保たれていた時に行われた人攫いをなぁ」
「何?」
「鬼は気に入った人間を攫い手合わせするのが風流でな。まぁその結果最後はどんな結末を迎えたか今現在この地に鬼はすっかり見掛けなくなってしまったが……儂が地獄に居る間に」
「自業自得なことしたんじゃねぇか?」
「かもな。そしてこの場所はお前との戦いの為に用意した場所でもある。鬼ヶ原とは攫った人間と鬼が手合わせをする地でな…丁度今の儂とお前に相応しい地でもある」
「攫われた覚えはねぇけどな……どうしてそこまで俺に拘る?」
「鬼の血を騒がす何かを秘めてんだよ……そこに倒れてる3人みたいに簡単にやられるなよ?待ってたんだからよ……懐かしい人攫い…血が疼くぜ」
「ならこっちは節分の時間だ。まぁ俺の球は豆じゃなくて弾だけどな」
阿修羅は抉られた地面に突き刺さる金棒を
掴み肩に乗せると早くも臨戦態勢に入る。
同時にトレインも岩に突き刺さった神槍を
抜き出し岩が崩れる音と共に神槍の先端が
姿を現しそれを左手に持つ。そして右手に
黒い愛銃の装飾銃ハーディスを握り両手に
武器を持ったトレインの目付きも変わる。
「ほぅ……左手に槍で右手に銃か…面白いバトルスタイルだな!さぁ約束の0時だ!ここからは存分に闘らせてもらうぞ!!」
「みんなを恐怖に落とす鬼野郎は……大人しく地獄に帰りやがれ!!」
お互いに闘牙をぶつけ合い衝突する2人…
未来を懸けた死闘が今始まるのだった。
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