野良猫幻想夢(上)

□もう1つの世界
3ページ/8ページ

だが相手は『時の番人』の隊長……実力も
今までの雑魚とは違い圧倒的力の差の前に
青年は次第に追い詰められてしまう…






「ハァ…ハァ…」

流血を肩や頬から垂らしながら膝を付いて
青年は不利な状況だと感じていた。刃先を
向けられいつでも斬り付けられる間合いに
入っている為銃も動かすことが出来ない。

「…覚悟しなさい」

「誰が…」

そして咄嗟に煙幕球を女性に向けて投げる
青年に意表を突かれてしまった。

「!?」

宙に舞う白い煙幕に視界が悪くなり一瞬
青年を見失う女性だが焦りはなかった。

「そんな傷で何処まで逃げる気ですか?ハートネット」

こんな手細工程度では数秒の時間稼ぎにも
ならないと勿論感じていた青年は斬られた
箇所を手で掴みながら只前を走っていた。

「こりゃ……マズいな…」

久々に感じる死の匂いを察し青年は嫌な
汗を頬から垂らしながらこの先のことを
考えていた。常に抱くのはまだ心残りの
有り過ぎるこの世界に止まりたいという
生への執念。生きたい。この状況を見事
脱することが出来るのならば何処へでも
行こう……只それだけを強く思って前を
走り続けた……死から逃れる為に…

一一まだ死ねねぇ…

そして気付いた時には一一





































「!!?」

青年は不思議な場所に居た…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ