野良猫幻想夢(上)
□その名は幻想郷
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日は天辺を過ぎ時刻は昼頃で場所は再び
博麗神社。既に魔理沙は帰ったのか1人
石畳に積もった雪を除雪している霊夢。
「♪〜」
すると少しして神社の石段から現れたのは
1人のブラウンヘアの青年だった。額から
汗を垂らしながら漸く着いた神社に表情を
顰めて青年は溜まった汗を手で振り払う。
「ずっと疑問を抱いてたがどんだけ石段長いんだよ」
「!」
霊夢はその姿に気付き除雪していた道具を
動かすのを一旦止め青年へ視界を向ける。
その視線に気付いたのか右手を自分の顔の
高さまで上げて青年は言った。
「どーも」
「アンタは昨日の…」
「…この世界はいったいなんだ?」
その言葉を聞いた霊夢は考えていたことが
確信へと繋がりその男へ向けて返答した。
「…やっぱりアンタは『外の世界』から来たみたいね」
「…???」
「良いわ……どんな理由で来たかは知らないけど戸惑ってるみたいだし……この『世界』について教えてあげるわ」
「!」
「この世界は『幻想郷』と言って現実世界とはまた違った謂わばもう1つの世界」
「幻想…郷?」
初めて聞くその言葉は今居るこの世界を
勿論指しているのは明白な話しなのだが
青年は情報の処理に戸惑っていた。
「そうよ。幻想郷とは現実世界とは異なった非常識なもの、非常識となったもの、存在しえないものなどの所謂『幻想』が存在する世界のことを言うわ」
「………」
「見たところ普通の人間よね?此処に来る為の『条件』も満たしていない以上決して外からは来れないのにどうして来れちゃったのかしらね?……結界が緩んだのかな…(『能力』も開花してる様子はないし…)」
「ごめんもっと簡単に詳細を教えてくれ」
「!」
そんな青年の頭からは煙が出ていた。いや
理解が出来ずに混乱していると言った方が
正しい。仕方なく霊夢は順を追って丁寧に
この世界についてを話し始めた…
「良い?幻想郷とアナタの居た現実の世界の境には『博麗大結界』と呼ばれる結界があって今は切り離されている状態なの……だからお互いの干渉を遮断してるから普通の人間には立ち入ることは疎か存在を知ることすら出来ないわ」
「博麗…大結界?」
「博麗大結界とは詰まる所『常識の壁』であって結界は幻想郷と現実世界の両方に位置するこの博麗神社で維持することになっているのよ。つまり幻想郷の存在が未だ現実世界の人間達に知られていないのはその結界のお陰ってワケ」