野良猫幻想夢(上)

□紅蓮の紅魔館
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「それでなんでこの紅魔館に来たのかしら人間?」

「……(ヘタなことを言えば殺されるな…確実に」)

トレインは感じていた……幼い容姿とは
雖もレミリアから静かに放たれる威圧感
……経験が察した死の直感が働く。

「えーと…」

「?」

慎重に考えていたトレインは少し間を空け
頬に汗を垂らしながら覚悟を決めて言った

「今晩……泊めてください」

「「!!?」」

まさかの返答に2人が驚いたその一言……
だが一番驚いていたのはトレインだった。
結局出任せに言ってしまった一言だからだ

「プッ!……ッアハハハハハ!」

あまりに意外だったりしくレミリアはつい
笑い出し緊迫した空気は一気に吹き飛んだ

「アナタ何を…」

「いや…その…」

「ふぅ……面白いことを言うわね」

笑い終えたレミリアは表情を戻して再び
トレインへと視線を合わせる。その瞳は
興味と別の何かの感情に染まっていた。

「(一度言っちまったんだ……もう後戻りは出来ねぇ!)」

「良いわよ人間」

レミリアのその一言にトレインは勿論だが
咲夜も驚いた顔をしてレミリアに言った。

「しかしお嬢様!このような見知らぬ人間を泊めるのは!」

「だからこれから出す私の条件をクリア出来たら泊めてあげても良いわ」

「!?」

「条件だ?」

「…っと。その前に自己紹介ね」

「!」

「私はレミリア・スカーレットよ……咲夜アナタもしなさい」

「…十六夜 咲夜です」

「…トレイン=ハートネットだ」

流れ的に自己紹介になってしまい2人の
名前を聞いたトレインは少し間を空けて
自分の名前を2人に打ち明ける。

同時刻。この紅魔館の地下に在る地下室の
ような部屋の中心では背中に枯れた枝木の
ような羽に浮遊するそれぞれ別の色に光る
クリスタルの形状をした細部を揺らし紅い
瞳からは生気が感じられない見た目は幼い
金髪色のミディアムウェーブに左の髪だけ
サイドテールで結んでいる少女がポツンと
座っていた。その少女は禍々しい威圧感と
オーラを漂わせながら前方に見える大きな
扉を半開きの瞳でずっと見つめていた。

「………」

心に深い悲しみを抱えるその少女の名は
フランドール・スカーレット。紅魔館の
主であるレミリアの妹でありワケあって
この地下室に幽閉されている……そして
この少女との出会いが……【幻想夢】の

一一今後の物語の全ての始まりである。
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