野良猫幻想夢(上)

□黒と紅【責任】
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誰かが俺を呼んでいる…






けど意識がなくなり真っ暗になる世界…








遠い思い出のような幻想郷での出来事…









自分以上に悲しい過去を持つ少女との
出会い……救えて嬉しかった…










こんな俺でもまだ誰かの為にやれることが
あった……柄にもなく嬉しかった…











サヤは死ぬ寸前に俺のことをこんな風に
思っていたのだろうか?













今になって少し……サヤの気持ちが
分かった気がする……サヤ















俺の自由の………先輩…


































視界は紅い壁。体に掛けられた掛け布団を
折り曲げて目を覚ましたトレインは此処が
天国ではないことを悟って我に戻った。

「!…なんだ夢か……つーか俺死んだのかと思ったぜ」

体中に巻かれた包帯だらけの自分を見て
トレインは最後の記憶を思い出す。痛む
体とあの激闘を思い返してよくも自分は
生きていたなと感心まで抱いてしまう。

「えーと確か最後の記憶は…安心した瞬間に目の前が真っ暗になって…それで…!」

ここで自分以外に感じる温もりに気付いた
トレインは視界を横に向けてみると布団の
中に明らかにおかしい膨らみがあった……
恐る恐る布団を捲ってみるとそこには隣で
気持ち良さそうに眠っているフランの姿が
あった。ちょこんと丸くなってトレインの
服を握っている姿はとても愛らしい。

「うおぉぉぉぉぉぉ!?な、なんでお前が居るんだ!?」

「ぅん…」

トレインの声で目を覚ましたフランは目を
擦りながら視界をトレインに向けて言った

「トレイン!目が覚めたんだ♪」

「そりゃ覚めるぜ…」

「良かったぁ♪」

トレインの安否を心配していたフランは
目を覚ましてくれたことに喜びを見せて
勢いよくトレインに抱き付いた。

「フラ…痛っ!」

「あっ!大丈夫!?」

「まぁ…なってこの包帯…」

「この前トレインの体を看てくれた人が居たんだ!」

「この前?……じゃあ俺が気を失って何日経った?」

「3日かな?」

「そうか…あれから3日が経つのか」

「うん」

「ん?ってことは…」

「?」

「お前3日間どうしてたワケ?」

「ずっとトレインの側に居たよ♪」

「………」
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