野良猫幻想夢(上)

□動き出す者達
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日は巡る。世界は幻想郷…場所は紅魔館。
トレインが幻想郷に流れ着いて早25日が
経過し負った傷も徐々に治ってきていた。

「もう大丈夫?」

ベッドから立ち上がるトレインをフランは
心配そうに見つめる。トレインは辛そうな
表情はなく寧ろかなり元気になっていた。

「あぁ!薬や毎日の安静のお蔭で大分良くなったぜフラン」

23日前までは動くことさえもまだ満足に
出来なかったトレインの体は3週間近くの
月日で大分回復していた。右腕のギプスは
まだ付いているが取れる日も近いだろう。

「まだ右腕はギプスが必要だがもう歩いたり何かしたりするのに支障はない筈だ!」

右腕以外は殆ど完治したことをトレインは
身軽な体を動かしながらフランに伝える。

「良かったぁ…」

心配した表情から一転して笑顔に変わる
フラン。そんな彼女の笑顔にトレインも
表情が柔らかくなった。すると扉の開く
音と同時に咲夜が2人の前に現れる。

「あら…もう起きてますね」

「あぁ。見ての通り殆ど回復したぜ!」

トレインは先程フランに見せたステップを
咲夜にも見せる。はしゃぎっ振りがまるで
子供のように見えたのか咲夜はトレインを
見て苦笑しながら白い服を見て言った。

「それでトレインの服ですが…」

手で口元を隠しゴホンと咳き込み咲夜は
そう言うとトレインが先に返答を返した。

「そういえばどこにやったんだ?」

「あの戦いでボロボロになってましたので新調しておきましたよ」

「ホントか!?悪いな!」

意外とあの服がお気に入りだったらしく
トレインは新調と聞き嬉しそうに反応を
示す。そして咲夜はトレインのこれから
着るのであろう新調した新しい服を出す。

「なっ!?」

咲夜の能力で手元に出されたその服を見て
トレインは言葉を失ってしまう。何故なら
渡された服は以前の面影など全く感じない
そんな可愛いデザインをしていたからだ。
ワンピースに薄いピンクのフリルが付いた
フランの私服の色違いであろう女物の服…
それを咲夜はトレインへ差し出した。
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