野良猫幻想夢(上)

□博麗宴会祭
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午前8時。トレインの二度寝から3時間が
過ぎてここで目を覚ますトレイン。

「…!」

目が覚めて体を起こすとフランも同時に
起き上がって目を擦っているのが見える。

「ふにゃあ…」

「おはよう…フラン」

「ト、トレイン!!」

トレインを視界に捉えるや否やいきなり
抱き付いてくるフランに驚きつつも大体
予想していたトレインは苦笑してしまう。

「痛ぇよ…フラン…」

「嘘付き…」

「…ごめん」

「すごく…心配したんだよ?」

「本当にごめん…」

「凄く…寂しかったんだよ…」

「…ごめんなフラン」

トレインは只謝ることしか出来なかった…
それしか術を知らなかったから…

「…グスッ」

「………」

トレインの安否を確認出来て安心したのか
フランは涙を流す。頬を伝わる涙を指先で
払ったトレインは無言でフランを抱き寄せ
頭を撫で続ける。そしてフランが気持ちを
落ち着かせたのと同時に開く扉の音と共に
現れたの咲夜だった。ちなみにこの部屋は
トレインの部屋だがフランが毎日のように
此処で寝ているのでフランを起こしに来た
咲夜がトレインの部屋に訪れるのは必然と
いうことになる。尚着替えの時しか自分の
部屋を利用していないフランの私室は現在
物置のような部屋と化している。

「フラン様そろそろ起き…ってトレイン!いつお帰りに!?」

「朝帰りだ……ちゃんとグリモワは奪還してきたぜ」

「お疲れ様です……ではまだお休みになりますか?」

「いやもう起きる」

「起きるの?」

「おぅ。向こうでも少し寝たし」

「向こう?」

「実は魔法の森で盛大に迷子になってアリスに助けられたんだ。そんな流れで魔理沙の家に深夜忍び込んで本を奪取して戻ってきたワケだぜ」

「全くアナタって人は……運が有るんだか無いんだか分からないです」

そしていつもと同じ朝を迎えて朝食も終え
トレインは廊下で咲夜を呼び止めて言った

「このグリモワをそのパチュリーって人に届けた方が良いよな」

「そうですね」

「じゃあ場所を…」

「私が教えてあげる!」

「そうですね。フラン様にお任せしても良いでしょうか?」

「任せてよ!」

「じゃあ頼んだぜフラン」

「うん!」

案内役を任されたフランはトレインの手を
引っ張りパチュリーの居る『大図書館』へ
向かった。すっかり元気になったフランの
後ろ姿を見て安堵の笑みを浮かべた咲夜は
紅い廊下を歩いて仕事に戻っていった。
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