野良猫幻想夢(上)

□Sadness and wish
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地下室に着くといつものメンバーが
先に待っていた。彼は遅刻である。

「遅いですよ!」

「てっきり逃げたと思ったぜ」

「漸く俺のこの『能力』について分かったんだ」

「嘘!?」

「教えてください是非!」

ネタを求める文はトレインに急接近し
言葉の真相を求めるとフランが
その光景を見て腹を立てながら言った。

「近いよ!!!」

「んじゃ簡単に説明するな」

トレインはさっきまとめた要点を話す。






「氣……ねぇ」

「美鈴と逆の能力……」

「なんでその2つから電気が発生するのかは分からないが興味深いな!」

「でも集中力なんてトレインには一番縁がないものなんじゃないの?」

霊夢の言っている事は正しかった。
あまりにも正論過ぎるその言葉に
トレインは皮肉のように感じていた。

「お前まで言うなよ……」

「良いネタが手に入りましたね!あとはそれを自由自在に使えるようにしませんとねぇ!」

「あぁ!」

「では今日の特訓を始めましょう」

そして修行が開始されいつもの時間に
終わる。夕食も済み自分の部屋に戻った
トレインは早速部屋の中心で黙々と
集中し無我の特訓をしていた。

「………」

頭の中で思うな……無意識に
出来るぐらいじゃねぇとダメだ……

無我から無意識の拡散。その難しさは
言うまでもなくかなりの集中力が要る。

「あー……無理」

あっさりと諦めベッドに倒れ込む
ダメな主人公……もうダメだお前。

「疲れてんのにそんな集中力なんて余ってるワケねーっつーの」

そして疲れたのかそのまま眠りに就く
トレイン……この調子では能力を完全に
開花させる日もいつになるのやら……

一一一ギィィィ

トレインが眠りに就いてすぐに扉を開き
部屋の中に入ってきたのはいつもの
ワンピース姿のフランだった。
だがその様子はいつもとは違って
少し元気がないようにも見えた。

「………」

そしてベッドに倒れ込んでいる
トレインに近付いてフランは言った。

「トレインもう寝ちゃった?」

「………」

だがトレインからの返答はない。
寝たのだと察したフランは体の向きを
扉の方に向けて無言で歩き出すと
ドアノブに手を置いてそれを捻り
ガチャッと音を立てて部屋を後にした。
そしてフランは珍しく今日は自分の
部屋へと戻っていった………
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