野良猫幻想夢(上)

□Belief
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ここは地下室。いつものように修行を
受けていたトレイン。現在は文との
修行に勤しんでいるところだった。

「ふぅ……」

「4割をマスターしましたね!目標は5割です!あと少しですよ!」

「おう……!」

刹那プツンと音を立てながら地下室の
中心に開かれたのは黒いスキマ。
初めて見るそれにトレインは表情を変え
異質の存在に警戒しながら言った。

「なんだ!!?」

「これは……」

そしてスキマから現れたのは
紫、藍、橙のマヨヒガファミリー。

「フフッ」

「今度はなんだ!?」

トレインを発見すると不敵な笑みを
浮かべる紫。魔理沙は隣に居る霊夢へ言う

「おい霊夢」

「えぇ……まさか紫まで出て来るなんてね……」

「………」

「いったい何をしに……」

「!」

「あの人間がそうですね」

続いて藍もトレインが視界に入ると
手を組む両手を崩しながら言った。

「人間……アナタの実力を私にも見せてもらえないかしら?」

「いきなり現れてなんだお前らは……どっから来やがった?」

「口の聞き方が悪いわねぇ坊や」

「坊やだと!?」

「私から見れば人間なんて赤子同然よ」

「何しに来たの紫?」

「知り合いか?」

「中心に立つ彼女の名は八雲 紫。スキマ妖怪で幻想郷でも最強クラスの妖怪よ」

「何!?」

だが紫から発せられる覇気からは
霊夢の言葉に嘘偽りはないのだと
すぐに感じさせる程の威圧感はあった。

「何って私も手助けに来たのよ」

「嘘ね……アンタがこんな時間にわざわざ起きて行動するからには何か裏がある筈」

「信用ないわね……そうよ!手助けは仮の名前で本当は確かめに来たのよ」

「?」

「その人間の実力を」

「!」

「そうだったんですか!?」

「橙……今は少し黙っているんだ」

驚く橙に比べ藍はやっぱり……と
思いながらトレインの様子を窺っていた。

「スキマから現れた妖怪さんよぉ……もし俺がアンタの思う実力より下だったら俺はどうなるんだ?」

「簡単な話しよ!幻想郷から消すか喰らうか……どちらかを選ばせてあげるわ」

「どの道死ぬってか?だったら俺は合格点を叩き出してやる」

目的がトレインにも伝わると即座に
ホルスターから愛銃を抜きそれを構える。

「フフッ!そうこなくちゃ……」

挿していた傘を閉じると藍と橙に
端に居るように命令すると2人は
言われた通りに壁の方へと移動する。

「霊夢!危ないからみんなを端に下がらせておいてね」

「アンタまさか!」

「使うわよ!私は勿論……」

「トレイン……」

「今までの修行の成果を見せる時がきたな……まだ修行は終わってないが俺はあの時より成長してるってのをお前にもみんなにも見せてやるぜ!フランも下がれ」

「……うん」

そして中心に立つ2人以外は壁側へと
移動すると紫は欠伸をして言った。

「わざわざこんな時間に起きてるんだから失望は……させないでね?」

「わざわざ早起きご苦労さん」

最強の妖怪に挑む野良猫。今の彼の
実力で紫相手にどこまで闘れるのかは
………これから十二分に分かる事になる。
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