野良猫幻想夢(上)

□Four outside next people
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晴天の青空……雲1つ無い爽快な朝。
今日はいつもにも増して気持ちが良い。
窓越しから日差しがベッドで眠る2人を
明るく照らすと先に目を覚ましたのは
眩しいその光りに顔を顰めながら
掛けていた布団をどかすフランだった。

「……フワァァァ」

体を起こし『く』の字にさせたフランは
両手を伸ばして欠伸をする。続いて
隣でまだ寝ていたトレインに視界を
向けるとくるまっていた布団を
ガバッと奪い抱き付きながら言った。

「起きてトレイン!朝だよ!」

「ん……もう少しだけ寝かせてくれよ……ってなんで居るの?」

「?」

「昨日笑い疲れて自分の部屋に戻って行ったじゃん」

「そうだっけ?」

「………」

最近はずっとこんな調子だ。寝る時は
自分の部屋に戻るフランだが決まって
朝には自分の布団の中に居る……

「まぁいいや……お前が俺よりも先に目が覚めるなんて珍しいな」

「日差しが眩しかったから」

「そーいえば日差しに当たるとお前ら吸血鬼は気化するんじゃなかったっけ?」

「この前トレインの血を吸ったから少し日の光りにも耐久が出来たんだよ!」

「……ふぅん」

一一一コンコンッ

するといつものように扉のノック音が
部屋に響く。ガチャッと開くと
現れたのはご存知咲夜だった。

「珍しいですね。私が起こしに来る前にもうお目覚めしているなんて」

「確かに珍しいのかもな」

「トレイン私もうお腹空いちゃったよ!早く着替えて朝食食べに行こっ!」

「お前の服は自分の部屋だろ?」

「あ、そっか。じゃあ着替えてくるから待っててね!先に行っちゃダメだよ?」

そう言ったフランはベッドから下りると
置いてあったスリッパを履いて走って
トレインの私室を後にした。その会話を
聞いていた咲夜はベッドに取り残された
彼を見てクスッと笑みを浮かべて言った。

「また仲良くなりましたか?」

「おい咲夜さんよ。いつもアイツから布団に入ってくるんだからな?勘違いするなよ……俺は」

「あと数ヶ月もしたら言ってる事も変わりますよ。さぁアナタも早く着替えてくださいね。朝食に遅れたらお嬢様の機嫌を損ねてしまいますから」

そう言い残した咲夜も続いて部屋を
後にする。ポツンと部屋に取り残された
トレインは後頭部を掻きながら呟いた。

「……使用人ってこんなんだったっけ?」
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