野良猫幻想夢(中)
□No.W・No.[来る!
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「……雰囲気が変わったな」
スーツ姿で仮面を付けた青年が隣に佇む
同じくスーツ姿でオールバックの青年に
そう言うと噛んでいたガムを膨らませて
オールバックの青年は返答を返した。
「見えてねぇのに分かんのかよ?」
「音程が変わった」
「あ?」
「お前に言っても無駄だろう」
「そんな感じだな…んで此処は何処だ?」
「まだ知らない場所だ……」
「つーかなんで急に知らない場所に居るんだよ?」
「それは分からない…が普通じゃないのは確かだ」
「半月前にNo.ZとNo.]共が急に消えちまったが……今度は俺らか?」
「………」
すると突然何かを探索するように静かに
佇む仮面の青年にオールバックの青年は
不思議そうな顔をして言った。
「どうした?」
「3つ……感じた気配を感じる」
「3つ?」
「その内の2つは同じ場所から感じる」
「つーか逆に3つしか感じないのか?」
「あぁ…」
「……隊長達は?」
「…感じない」
「チッ……無線も電子機器もなんの反応も示さねぇし……国が変わったか?」
「兎に角知ってる気配は3つだけだ……孤立している1つの気配とは少し距離があるがな……2つ固まっている方の気配は此処から近い…」
「じゃあその3つはもしかしてよ…」
「おそらく消えた2人と黒猫だ」
「ハートネットか!やっと見つけたな!」
仮面の青年の推測にオールバックの青年は
不敵に笑みを浮かべながら膨らませていた
ガムをパチンと音を立てて割る。
「まずは2人と合流する必要がある。そして情報を得ることがまずは第一だ」
「確かにこのワケの分からねぇ現象についても聞きてぇからな……まずはアイツらに会いに行くぜ」
目的地を決めた2人は現在地の妖怪の山を
進行し始める。仮面の青年の不思議なその
能力は的確に2つの存在を指すジェノスと
シャオリーの位置を捉えていた……
「……薄気味悪い場所だな」
「………」
「本当にこっちで合ってるんだろうな?」
「あぁ……気配がこっちから感じる。だが待てバルドル」
「何だよクランツ?」
仮面の青年クランツはオールバックの青年
バルドルを制止するように前に出て右手を
横へ突き出すとバルドルは言った。
「んだよ?なんの真似…!?」