野良猫幻想夢(中)
□颱風異変
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季節は6月上旬。徐々に気温が暖かくなり
肌寒さが消えた季節の移り変わりの時期。
不知火 炎香の起こした『炎熱異変』から
もうすぐひと月が経とうとする中……
再び環境に異変が訪れる。それは梅雨が
終わってすぐの出来事から始まった。
「…う〜ん」
シトシトと湿った雨が降り注ぎジメジメと
した空気の充満した湿気の高い部屋で1人
不機嫌そうに窓から外を見つめる少女……
場所は紅魔館のトレインの私室である。
「いくら唸っても雨は止まないぜ?」
「だ、だってぇ…この前漸く梅雨が明けたのにまた雨だよ?」
「こりゃ自然のせいだからな……何とも言えないぜ」
「折角長い間お散歩我慢したのにまた雨なんて……ホント雨大嫌い!」
頬を膨らませて雨雲を睨み付けるフランは
気分を入れ替えようと窓からベッドに座る
トレインに視界を向けるとテクテクと歩み
ピョコンと飛んでトレインに抱き付く。
「うわっ!?…何だよ?」
「遊んで」
「う〜ん……室内じゃ出来ることも限られてるからなぁ……梅雨の間も紅魔館でずっと過ごしてたし流石に遊ぶネタがもう…」
「うぅ…遊んで遊んで遊んで!!」
「あ、暴れるなって!羽が顔に当たって痛いってば!」
「あっ!ごめんねトレイン!大丈夫?」
「別に大丈夫だけどさ…」
「でも私も退屈だったから……つい…」
「分かってるよ……とりあえず何か室内で出来ること見つけないとな」
「うん!いっぱい見つけて沢山遊ぼうね!私トレインとなら何してもいいよ♪」
「お…おぅ…」
天気が雨の為外出も出来ないフランには
その時間がとても退屈な日々だった……
それを少しでも紛らわそうとトレインも
また知恵を絞り室内で出来ることを探す。
そしていつもより長い1日を過ごした。
だがそれから3日経っても天気は変わらず
寧ろ風も強くなり雨も大粒に変わり天気は
良くなるどころか悪化していたのだ……
「どーして!?なんで止まないの!?」
「まぁまぁ落ち着けってば……文の新聞を見るに台風が近付いてるんだとよ……過ぎ去るのを大人しく待つしかねぇよ……てか幻想郷にも台風来るんだ……まぁ当然か」
「うぅ……いつもより部屋の湿気が強くて私辛いよぉ…」
露出した肌からは汗が流れ堪らず帽子と
靴下を床へ投げ捨てるフラン。額からは
蒸れていたのか汗で髪が湿っているのが
トレインにも十分に伝わった。