手をのばして抱きしめて

□手をのばして抱きしめて 第9夜
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「ユウの、…バカ」

照れくさそうに憎まれ口を叩くルキの唇を今度は激しく貪った。
離れても、唾液が唇を繋ぐ。
何度も角度を変えて口付けて徐々に下へと降りていくと、いつもより鮮やかに色づく蓮の華があった。

「…お前のこれ、痣か?
昔からあったのか?」

不思議に思っていた。
これはコイツが俺のものだという証とさえ感じていた。

「…わかんない。
イノセンスが発動できるようになってからしばらくして気が付いたの。
昔は、無かったと思う」

蓮に唇を落とすとピクリと震える。

「でも、ユウに会って、ユウに抱かれるようになってから、どんどんはっきりしてきたみたいなの」

何かの前兆みたい。

少し不安そうに俺を見つめる。

「…大丈夫だ」

何があっても、俺がお前の傍にいる。
この華だって悪い意味じゃない。
…きっと。

そう思いながらまた口付けを落とす。

「ユウ」

甘い声が俺の名を紡ぐ。

「…何だ?」

震える肩先にも口付けて、答えるとルキはまた恥ずかしそうに呟いた。

「お願い、もう…」

上目遣いでされるルキの願いは直ぐに理解できた。

「…お前は発動してなくてもエロいな」

優しく身体を倒してやると、細い腕が俺に巻き付く。

「まだ全然慣らしてないから、痛いかもしれない」

そう言ってもルキは首を横に振ってまた強請る。

「いいの。痛い位で」

痛い位、ユウを感じたいから。

その言葉に俺はまたぶわりと身体中に痺れを感じた。

「…もう止めてって言っても止めてやらねぇからな」

もう後は、ルキの身体に溺れるだけ。








結局明け方近くなるまで俺はルキを離さなかった、いや、離せなかったの間違いだ。
素のコイツは実に新鮮だった。
まるで娼婦のように振る舞う紅い瞳の時と違って、今のコイツはまるで初めて身体を合わせるような反応を見せ、尚且つ紅い瞳の時のように零れそうな蜜を滴らせていた。
触れた所から柔らかくとろけて、まるで良く熟れた果実みたいだ。

たまんねぇ…

何度もそう思ってルキを求めてやまない自分に、内心苦笑を漏らしてしまう程に。

「ん…ユウ…」

寝言にまで俺の名を呼ぶルキの額に口付けを落として、俺もその隣で目を閉じた。
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