手をのばして抱きしめて
□手をのばして抱きしめて 第6夜
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「コムイ、話がある」
ルキと鍛錬後、風呂に入り一緒に朝メシを食べた後、俺は一人、コムイのもとへ来た。
「やあ神田くん。ルキちゃんは大丈夫だったかい?」
そこには珍しく机に真面目に向かうコムイがいて俺は目を見張ったが、近くに行くと沢山のヨッシーが机上に書き散らかされていた。
…仕事しろ。
リーバーの泣き顔が目に浮かぶ。殴ってやりたくなったが、まぁいいかと思い直して口を開く。
「ルキとしばらく同じ任務にしてほしい」
まどろっこしいのは苦手な俺は、はっきりと言い放った。
「…随分と直球だね」
苦笑いでヨッシーを書く手を止める。
「何かあったかな?
それとも報告になかった事が関係あるのかな?」
「チッ」
やはり、はいそうですか、と許可をする訳がない。
舌打ちをし、コムイの前にあるソファーに勝手に座り、ルキの体質について簡単に説明をした。
あまり言いたくはなかったが、俺以外のヤツと組み、万が一そんな事になったらと考えただけで、不思議とムカついて仕方がないからしょうがない。
コムイは静かにその話を聞いていた。
「うーん…なるほど」
顎に手を当てて唸る。
「やはりそうじゃないかとは思ってはいたんだ」
「…どういう事だ?」
何かを知っているような口振りに、俺は眉を顰めた。
「ニンフォマニアという用語を知っているかな?またの名を性欲抗進症、淫乱症とも言うんだけどね。」
簡単に云うと何かを引き金として異常性欲を起こしている。その症状に似ているんだ。
ルキちゃんのイノセンス、不思議だと思わない?装備型の筈なのに何故か体に変化が起きてる。まず発動すると瞳が紅く変化する。昨日拳銃も見せて貰ったら多少いじられたようだが普通の銃だったよ、なのにAKUMAの動きを止めた。一時的にだけどね。それでボクは考えたんだ。イノセンスの影響が何らかの形でルキちゃんの身体に影響を及ぼしているのではないか、と。
「…それとさっきのニンフォ何とかと関係があんのかよ」
面倒な説明が始まり、俺は更に顔をしかめる。
「つまりね、」
炎のイノセンス。発動するとアルコールを欲するのはこれは炎を燃やす為かな。寄生型の場合の食欲が高まるのと近いと考えられる。そして影響を受けた身体も疼く。イノセンスが引き金となってね。
「発動後、ルキちゃんの身体の中で炎がくすぶり続けるんだ。これは辛いだろうね」
そしてそのはけ口を求めて触れた異性、この場合は手で触るのも目に触れるのも同じ事だろうと思う。それに反応して性欲が大きくなり異性を求める。この症状はまるでニンフォマニアに近い。
「それは病気の一種なのか?治るのか?」
病気なら治るかもしれない。
そう思い口を挟むがコムイは首を横に振る。
「病気なら、ね」
じっと俺を見つめ、やや逡巡してから口を開いた
「…ルキちゃんは神田くんと性的行為をしている時、オルガスムスを感じているようかい?」
「な!?」
その質問にカッと頭に血が昇り、思わず六幻に手を添えて立ち上がりかけた。
「からかっている訳ではないんだよ。」
そんな俺を見て慌ててコムイは制する。