手をのばして抱きしめて
□手をのばして抱きしめて 第9夜
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「ちょ、ちょっと待って神田!」
ほとんど引きずるように自室へとルキを連れ込んだ。
細い両手首を左手でまとめ、ルキの身体を壁に押し付ける。
開いている右手で顔を強引に上げさせ、怯えた瞳をしたルキに噛みつくように唇を合わせた。
「んっあっ…ふ」
舌を絡める度に漏れる声をききながら口内を蹂躙し、ルキの団服のコートを開く。
「やっ、神田!」
「…下の名前で呼べ」
「あっ」
ルキの白く滑らかな脚と脚の間に自身の身体を入れ、耳元で囁くと、そうとわかる位ルキの身体が跳ねた。
右足の腿に装備されているホルスターを外しながら、耳を丁寧に舌でなぞるとルキの身体が震える。
ホルスターを床に落とし、腿を撫であげ更に柔らかな内腿を抓りあげると『痛い』と声がし、見るとルキが泣きそうな表情をして俺を見ていた。
「…その顔そそる」
「えっ、あっ、嫌っ!」
そのまま手のひらをスカートの中へと滑らせ、一気にショーツを引き下げれば、ショーツと秘部の間が糸を引いている。
「やだ、見ないで…」
真っ赤な顔で切なそうに漏れた声。
「まだ直接触ってもいないのに、もうこんなになってんのかよ」
この淫乱、と口端を上げて笑うとさっきから潤んでいたルキの瞳から、ぽろりと雫が落ち、その雫を舌先で舐め取る。
「…何故泣く?
お前は誰でもいいんだろ?」
首に強く吸い付き、紅い痕を残す。
「…そんな事、ない」
消えそうな声で、でもはっきりとルキは否定の言葉を漏らす。
「嘘だ。
お前、兎と寝たんだろ?
俺より良かったか?」
「なっ!?」
俺の言葉にルキはその身体を固くし、力一杯抵抗を始めた。
その反応に俺はまた苛立ち、そして苦しくなる。
暴れるルキを抱き上げてそのままベッドへ放り投げ、馬乗りになり団服を脱がしていくと、徐々に露わになるその白い肢体。その身体に俺以外が付けた紅い鬱血痕を探す。
「…私、ラビと任務に行った」
俺の下で大人しくなったルキが今更な事を呟く。
「でも、私、ラビと寝てないよ」
信じられないかもしれないけど、お願い、信じて。
ルキが懇願するように俺を見つめる。
「私の身体、好きにしていいから、隅々まで、調べてくれていいから、ユウ」
私、ユウ以外に抱かれてないよ。
真摯な深い色の瞳に射抜かれ、俺は息を呑む。
ルキの長い髪が固いベッドに散らばる。
俺の頬へ手が伸び、いつもこういう時は熱いルキの手のひらが、やけにひんやりと感じられた。
「…だから、そんな苦しそうな顔、しないで」
…ああそうか。
コイツの手のひらが冷たく感じるのは、コイツがいつもあの紅い瞳じゃないからか。
「…ルキ」
もう、止められないんだ。
「お前は、俺の事、どう思ってる?」
今まで怖くて聞けなかった。
もしただの性行為の相手としてしか見られていないなら。
それでも、俺は、コイツを手放す事は出来ないと分かっていた。
俺の頬に触れているルキの手に、力が籠もる。
ぐっと顔が近づいて、唇と唇がそっと触れ合った。
「…ユウ…」
切なそうに潤む瞳。
「ユウ…好き」
好きなの。
そう言って抱き締めてくる身体を愛しく感じる。
「ルキ…お前は、俺のものだ」
震える身体を抱き締め返すと、腕の中で微かに頷いたのがわかった。
「誰にも渡さねぇ。
お前の全て、俺だけのもんだ」