月のかげする水

□月のかげする水 第3壊
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私の首筋に彼の吐息がかかり、大きな手が一つづつ服のボタンを外していく。

「あっ、ダメ」

私の弱い拒否の言葉に彼はニヤリと笑いながら「こうして欲しかったんだろ?」とくつろげた胸に顔を埋める。

「そんな事…あっ」

甘噛みされた胸の突起に思わず身体が反応して、浮いた腰に腕が廻された。
指が胸から私の下腹部へと秘部へと伸ばされる。

「…さすがに濡れやすいな」

くちゅっとたてる水音に彼は満足そうに頷いて、ゆっくりと唇を寄せる。

「いやっ、そんな事…んっはんっ」

秘部の敏感な場所を責められて、びりっした快感が私を襲う。
その刺激に彼の頭を押さえると、その手を彼は絡めとる。

「俺としたかったんだろ?」

意地悪な声が私の身体を震わせた。




「…それでお前は何がしたいんだ?」

「『そう言ってまるで誘惑するように私を熱い眼差しで…』」

「いい加減にしろ」

ぱこり

「頭を叩かれた…って無いよ、そんな文章!」

それにこれからがいい所なんだよ!?ジェシーがマイケルと熱い時間を過ごすんだから!

そう言いながら本から顔を上げると、そこには「知らねぇよ」とイライラした様子の神田ユウ。

「だから何でそんな本をここで音読してんだよ」

「え?読み聞かせ?」

ユウちゃんのテクニック向上の為に。

えへへと笑うと物凄い視線で睨まれる。

「テメェに俺のテクニックを心配される筋合いはねぇ!」

「おっ、自信ありありっスか?」

さっすがユウちゃん!

座席に向かい合わせに座る彼に抱きつこうと立ち上がると、頭を押さえられた。

「寄るな」

うう、冷たい。

仕方なく元の座席にぽてんと座ると、舌打ちされた。
そう、今私達はこれから向かう任務地へと移動中。

「…お前との任務なんて最悪だ」

そして大袈裟な溜息。

「まったまたぁ。ユウちゃんてば嬉しいくせに」

この私と2人っきりだよ?

かわいく小首を傾げても、「けっ」と言う声が聞こえてくるだけ。何だ?ちょっと傷ついちゃうぞ?

「テメェのお守りはごめんだ」

そう言って睨まれた。

「何だよぅ、ユウちゃんまで」

「ああん?」

「コムイにもこの前子供扱いされてさ」

口を尖らせる私にそりゃ仕方ないだろ、と言われる。ひでーやユウちゃん。

「だからさ、コムイに大人にしてって頼んだの」

「は?」

私の言葉に固まるユウちゃん。ん?と思って眺めていると、みるみるその顔が鬼のような形相になってきた。

「ユウちゃん?」

どったの?

また小首を傾げてその顔を覗き込むと、思いっきり両耳を引っ張られた。

「痛いっス!」

「痛いっスじゃねぇ!」

本当にあほか!テメェは!
なんつー事をコムイに頼んでんだ!

「いやいやいや、待て待つ待て!」

体を後ろに引いてその耳攻撃から逃れる。
ひりひりする耳をさする私を、ユウちゃんはムスっとして腕と足を組んで睨む。

「なんか勘違いしてないかい?」

「…何がだよ」

「事の発端はユウちゃんなのですよ」

「俺関係あんのかよ」

「うん」

だってユウちゃん私の事いつもチビっていうじゃん?

「…それとコムイに大人にして貰うのと何の関係が…」

「つはりは発育不良って事でしょ?」

私の言葉に黙り込む。
だがしばしの沈黙の後、そこまでは言ってねぇと聞こえてきた。うん、確かに言ってはいないけど、思ってはいるんだね。そんな沈黙でしたね。

「まあ仕方ないけど」

がっくりと肩を落とす私を、さすがに気の毒に思ったのか、軽く頭を撫でてくれた。
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