月のかげする水

□月のかげする水 第17壊
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「いいなぁ、リナちゃん」

ばしゃばしゃと水面を叩きながら言うと、「何が?」と訝しげな視線を向けられた。

「だっておっぱい大きい」

「そんな事ないわよ」

むむぅと唸る私を、一緒の湯船に浸かるリナちゃんが苦笑しながら見つめる。今日は久しぶりに会ったリナちゃんと、一緒に教団のお風呂に入っていた。部屋にもついてはいるが、やっぱり大きいお風呂は気持ちがいい。

「普通だと思うけど。それに大きさならクラウド元帥ね、やっぱり」

「…でもリナちゃん、私より大きいっス」

自分のほぼまっ平らに近い胸を眺めて溜息をつくと、リナちゃんはくすりと笑って濡れた私の髪を撫でてくれた。

「大丈夫よ、かな。神田は気にしてないわよ」

「そそそそんな事私言ってないし?」

何言ってるのかなぁ、リナちゃんてば。

むむぅ?とわざとらしく首を傾げればつんっと鎖骨をつつかれた。

「ここ」

あ、あとここと、ここと、あらここにもあるわ。すごいわね。

ふふふと笑ってつつかれたのは、背中と腰骨とおへその下。

「ええと後はお尻にもあるわよ?」

悪戯っぽく私の顔を覗き込まれてかっと顔に血が上る。

「これだけ痕つけられてるのに、胸の大きさなんて気にしてるわけないじゃない」

ね?と優しく微笑むリナちゃんに、照れまくる私。

っか〜、ユウちゃんてば何をしてくれてるかな。いや、ナニはしたけど。……ナニって何。うう、また恥ずかしくなってきたぜ。

思い出してまたばしゃばしゃと水面を叩く私を、リナちゃんはにこにこしながら眺めている。

「でも良かったわね、かな」

「う?」

「神田と上手くいって」

心配してたのよ?

そう言って眉間に皺を寄せる。

「うう〜、リナちゃん大好きだ〜!」

優しいリナちゃんに思わず叫んで抱きつくと、にっこり笑ってウインクする。

「それに神田もね」

「ユウちゃん?」

「そ、神田ってばずっとかなの事好きだったもの。これでやっと想いが通じたわけだしね」

その言葉に、へ?、と思いリナちゃんを見ていると、ぶっと誰かが吹き出す声。隣りの男湯からだった。

「あり〜?そのばかっぽい笑い声はラビっち〜?」

聞き覚えのあるその声に大きな声で叫ぶ。すると「ばかっぽいって何〜。ばかはかなさ〜」と間延びした返事が返ってきた。そのムカつく返事に悪戯してやろうと、「止めなさいって」と止めるリナちゃんから離れて、こっそりイノセンスを発動し、水を引き寄せて壁の向こう側に飛ばす。

「うわっ!」

「冷てぇ!」

んん?声が2人分?そしてこのもう1人の声は、

「テメェかな!何しやがる!」

うっそーん、ユウちゃんではないですか!?
任務でいなかったはずのその声に驚いていると、また聞こえる怒鳴り声。

「あとリナ!テメェもそのあほに余計な事言ってんじゃねぇ!」

その声の横でまたぶぶっと聞こえるラビっちの笑い声。

「リナリーあんましバラしてやるなさ〜。ユウってば真っ赤だぜ」

ぶくくと笑いながらまた聞こえて、リナちゃんが「そうね、ごめんなさい神田。あなたから言うべきよね」と隣りに聞こえるように叫ぶと、「もうテメェら黙れ!俺はもう出る!」とユウちゃんの声が聞こえた。
その言葉に私も慌てて叫ぶ。

「ちょっと待ってくれユウちゃん!私も一緒に出るよぅ」

ざばりと立ち上がると「断る」と即答された。相変わらずつれないっス。
そうは思いながらもリナちゃんに手を振って、風呂場を出て急いで服を着て浴場を出ると、出口の壁に寄りかかったユウちゃんがいた。
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