world is yours
□world is yours 1
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泣きそうだ。
彼に振られた。
他に好きな人が出来たというその相手は、私の親友。
よくある話だ、そう、よくある話なんだ。
だから平気だ。
それから飼っていた猫が死んだ。
10年以上一緒に暮らしてきた大好きな私の猫。
海外転勤で両親が海外に行った後もただ一人、私の傍にいてくれた、大好きな私の猫。
人生最大の辛い出来事を、ただ一人、言うことができた安心できる相手。
今その仔は煙となり空へと登る。
本当に本当に、寂しい。
泣き出しそうな気持ちを堪えながら、その猫の遺骨の入った陶器を持つ。
亡くしてしまった。
無くしてしまった。
彼、親友、そして猫。
よくある事が一気に私に襲いかかる。
何も信じられない。
神様なんて大嫌い。
家路を辿りながら、世界なんてなくてもいいと、呪いの言葉を吐き散らす。
私の世界。
…もう、何もかもが嫌だ。
いい加減にして、と私は家の扉を開く。