手をのばして抱きしめて
□手をのばして抱きしめて 第9夜
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口付けをし、再びベッドに押し倒す。
団服を脱ぐのももどかしい。
心が早くルキに触れたいと急かしているのがわかった。
細い手を取り指を絡ませその甲に口付ける。ルキの顔を見ながらそのま丹念に指を一本づつ舐めあげると、その度、ルキの身体がピクリと反応し、どんどんと切なそうに瞳が潤んでもう、堪えられない眺めだった。
「ゃっん」
伸ばしたその二の腕に噛みつくと、とろけそうな吐息。ルキの身体が徐々に熱くなっていくのを感じる。
いつも触れる時は始めから既に熱くなっていた。
それはそれで悪くはなかったが、自分の指先や唇の些細な動き、そのひとつひとつで変化していく今のルキは、見てるだけで身体の芯が熱くなる。
かわいい。
愛しい。
コイツを抱いている時以外、いや抱いている時だって不安だった。
苦しかった。
身体が軋むようだった。
「ルキ、」
名を呼んで優しく唇を合わせると、ルキの顔が朱に染まる。
「…キスなんて今更だろうが」
その反応に少し驚いてその髪を撫でてやると、ルキは染まった顔を傍に落ちていた俺の団服で隠してしまった。
「…オイ」
「やっ」
団服を退かそうと引っ張るが、掴んだまま離そうとしない。
少しムッとした俺はいきなりルキの胸の頂に噛みついてやった。
「痛!」
その抵抗するような声に構わず、あちこちに歯形を付けてはキツくそこを吸い上げていく。
「ん…い、ぁ」
ルキの息使いが少しずつ変化した時、俺は力任せに団服をその手から奪う。
「っ!」
そこには、顔を朱く染め瞳を潤ませて恥ずかしそうに眉を下げるルキがいた。
こんな顔、初めて見た。
まじまじと見つめるとますます困ったような泣きそうに眉を下げる。
「…あんまり、見ないで、はず、はずかしい、から」
恥ずかしくて死んじゃいそうなの。
ふええんと落ちる雫。
…だめだ。かわいすぎて俺が死ぬ。むしろコイツのかわいさに殺される。
「…テメェはホントに」
どんだけ俺を乱せば気が済むんだ。
ハァとため息をつく。
泣きだしてしまったルキの身体を起こしてやり、抱き締めてあやすように背中を叩いてやる。
「泣くな」
優しく髪をなで囁くと、しゃくり上げながら、たどたどしくルキは口を開いた。
「こんな、普通の状態でなんて、初めて、なの」
いつもは勝手に身体が熱くなって仕方ないのに、今はユウに触れられた所から、熱くなって、もっと触ってって思うのに、触られると、苦しくなって、切なくなって、どうしたらいいか、わからなくなる。
ユウのキスは優しいのに、私ばかり、ドキドキして、身体が反応して、それが、恥ずかしいの。
ルキの言葉に思わず顔が綻びそうになる。
素のルキを抱くのは俺だけという満足感。そして独占欲。
「…ドキドキしてんのはお前だけじゃねぇよ」
触ってみろとルキの手を取り俺の胸に当ててやる。
「いつもお前に触れたい思う。
でも俺だって、…苦しいんだ。」
パチリと大きな瞳が瞬きをする。長い睫が濡れていた。
「…ユウも、ドキドキしてる」
「ああそうだ」
顎を掴んで顔を上げさせまた、口付けを落とす。
「だから安心してお前は俺の下で喘いでろ。」
ニヤリと笑ってやるとますますその可愛い顔が朱くなる。