妄想伝

□現在進行形
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ぞわり


・・・・・・曹操は全身が粟立つのを感じた。いや、それどころか生命の危機とも云える空気を感じた。

振り向くな。振り向かず、そのままこの地を去るのだ!と脳が避難警報を発令している。


平:でも、ムツゴロウさん。この生き物は何で振り返ってしまったのでしょう?

ムツゴロウ:え〜、この子はですねぇ、後ろが気になってしょうがなかったんですねぇ。危ないですねぇ。危険ですねぇ。ですが、そういう経験で学習していくんですよぉ。



そう、振り向いた其処には、気色満面の笑みを浮かべ愛馬に跨り、龍騎尖を構える奴が居た。


「その首置いてけぇぇえ!!」

「ぎゃああぁああ!」
戦場ステージではないため味方は居らず、肉まん何て有る筈が無い。そう!ここはまさに修羅モードの世界!(違)

戦闘準備をろくにしていない曹操には逃走するしか手立てはなかった。



一方、そこから二里程(現在の単位では800m位)放れた所に平和な武将が一人いた。

殿と民の為にと、薄給生活ながら粉骨砕身にも関わらず、育てた御曹司にストーキングされ、籤を引いてしまったが為にやりたくもない女装をさせられて、挙げ句の果てにその姿を劉備に見染められ、危うく側室にされかかった幸薄き男、趙雲。字は子竜。彼女居ない歴24年(笑)

そんな彼だが、自分の幸薄さにくじけてはいなかった。


その時、兵士達の調練を終え、趙雲は一人、肩を落とし悩んでいた。
というのも馬超に何かお礼がしたくて悩んでいるのであった。

御曹司の劉禅に襲われた時も、後宮に入れられそうになった時も、自分が危ない時に必ず助けてくれるのは馬超である。

自分が腐らずにいるのもこの国に居られるのも馬超のお陰だと、趙雲は考えていた。
故に趙雲は悩んでいた。


私が出来る事で馬超殿が喜ぶ事って何だろうか?と
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