恋愛ヴァージン
□手をあてて
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…気分が悪い。
熱があるわけでもない。ただもやもやする。
「珠子さんどうかした〜?」
心配して龍之介くんが顔を覗き込んできた。
「なんでもないよ」
なるべく明るく振る舞う。けどもやもやは消えない。
「…はぁ」
本日何回目のため息だろう。外はあんなにもいい天気なのに。
ぼんやりと外を眺めていたら勢いよく扉が開く音がした。
「遅れましたー。ってあれ?どうしたの珠子ちゃん。暗い顔してるね」
やってきたのは高遠。
来るなり龍之介くんと同じように顔を覗き込んできた。
「そ、そうかな…」
あまりにも顔が近かったので目を逸らしてしまった。
「照れちゃってー。珠子ちゃんは赤い顔もかわいいねぇ」
「なっ…!!」
くっくっくと笑うと高遠は響先輩のもとへ行ってしまった。
まだ顔の熱はひかない。
でも気分は不思議と優れていた。
熱をもった顔に手をあてて
(とりあえず今日は早く寝ようかな…)