恋愛ヴァージン
□響いている
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昼休み、静かなところでお弁当を食べようと思った私は中庭に来ていた。
「どこかいいとこないかな」
辺りを見渡す。
ベンチはカップルやなんやでいっぱいだった。
(うわぁ…)
あまり見ないほうがいいが、やはり目がいってしまう。
カップルたちはいちゃいちゃしながらお弁当を食べていた。
(…場所変えよう)
人がいなさそうなところを探し、腰を下ろした。
「はぁ〜。いただきま〜す」
「なにしてんの珠子ちゃん?」
「きゃあ!?」
合掌していたときに頭上から聞こえた声。
「た、高遠?」
「うん。一人でお昼?一緒に食べてあげよっか」
にやにやしてこっちを見ている。
「一人で食べたいの。静かな場所にいたくて」
バカにされたのが少し悔しくて、そっけなく応える。
「へぇ。じゃあ邪魔しちゃ悪いかな。オレも女の子待たせてるし。じゃーねー」
高遠はそう言うと去っていった。
「あっ…」
高遠がいなくなって、一気に私の周りは静かになった。
もっといい切り返ししてたら会話続いてたのかな。
らしくもないことを考えてすぐにその考えを打ち消した。
あんなのと会話しても楽しくないし!
どうせまたバカにされるし!
目の前にいちゃついてるカップルがいて泣きそうになった。
まだあなたの声が耳に響いている
(明日もここで食べようかな…)