恋愛ヴァージン

□冗談
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おもしろい子だと思った。

あの部長に口答えをしたり、人の恋愛に必死になったり。


オレの周りの女子にはない“なにか”を持っていた。








「こんにちわー」



オレはその声に気付き後ろを振り返る。



「珠子ちゃん」



名前を呼んであげると珠子ちゃんはびっくりしたような顔をしてこっちを見た。



「高遠が私より早く部室にいるなんて珍しい…」



発言がおもしろくて笑ってしまった。ホントに驚いた顔をして言うんだもの。



「オレだって早いときは早いよ」


「そっか」



簡単な返事で会話が終わる。それでもオレは珠子ちゃんを見続ける。


「…なに?」



少し困った顔でこちらを見た。そんな顔も悪くない。



「ん〜。珠子ちゃんのいろんな顔が見たくって」


「へっ?」



また驚いた顔。
少し頬が赤いのは気のせいか。



「私の顔ばっかみてないで他のことしたら?」


「だって他にすることないし」



最近はなにもすることがない。今は部長もいないからなにもしなくても怒られないし。



「……」



珠子ちゃんは黙ってなにか考えていた。そしてなにか思いついたらしく、オレに近づいてきた。



「高遠」


「ん?」






「私も高遠の顔見てるの好きだよ」




「へっ?」



今度はオレが間抜けな声をだしてしまった。

珠子ちゃんのほうを見れば、してやったりといった表情。



「驚かされるのばっかじゃつまらないでしょ?」



そう言って離れていった珠子ちゃん。



「くそ…」



なんだろう。今日は心臓がうるさい。

















あの言葉って冗談だよな?


(どうしたんだよ…オレ)
 

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