恋愛ヴァージン

□2つ
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昼休み、私は図書室に来ていた。
本を返しにきたのだ。

カウンターに本を置き、次に借りる本を探しに行く。ふとパソコンに目がいった。



「龍之介くん?」



パソコンの前にいたのは龍之介くんだった。



「あ、珠子さん」



愛くるしい笑顔で私の名前を呼ぶ。



「仕事?」


「うん。大変だよ〜」



ということはこのパソコンに打ち込まれている文はいつか店頭で売られることになるんだろう。
そう考えると、とても内容が気になった。



「珠子さんはどうしたの?」


「えと、本を返しにね」



見たいと思っていた考えを振り払う。見てしまったら商売にならないだろう。

それに龍之介くんの邪魔をしてしまうのは悪い。


「龍之介くん忙しそうだし、私もう行くね」


「えぇ〜。もうちょっと一緒にいようよ〜」


「いいの?」


「うん。珠子さんがいたほうがいい案がでそうだし」



そんなことを言われたら残るしかない。
少し周りの上級生のお姉さんたちの視線が怖いが、そこは気にしないでおこう。



「ふわぁ〜」



龍之介くんが隣であくびをする。



「眠そうだね」


「昨日も徹夜だったからにゃ〜」



涙目になっている目を擦りながら龍之介くんが言う。……すごいかわいい。



「寝てもいいんだよ?」



あまりにも龍之介くんが眠そうにしていたのでそう言ってみた。



「うぅ〜。でも珠子さんとせっかく2人で図書室いるのに寝るなんてもったいないにゃ〜」



そう言ってもう1度あくびをする。

私もあくびをしてしまった。あくびがうつるってホントなんだなぁ…。



「珠子さんも眠そうだにゃ〜。一緒に寝よっか?」



学校ではあまり寝ないがそう言われて悪くないと思ってしまった。

















1番日当たりのいい机に影が2つ


(珠子さ〜ん。チャイム鳴ってるよ〜)

(うわ!あと3分で授業始まっちゃう!)
 

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