恋愛ヴァージン

□右に
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「珠子ちゃん。今日一緒に帰ろう」


「あぁうん。いいよ」



今日は用事もないから早く帰れるなんて喜んでいたらまさかの誘いがきた。
断るわけにもいかない。

彼氏の誘いなんだから。





「おまたせ」


「ん。じゃあ行こっか」



へらっと笑う高遠。
もうたくさんの女の子はいない。高遠の彼女は私だけだ。

そう思うと自然に笑みがこぼれる。



「なーに笑ってんの」



高遠が私のおでこを指ではじく。



「痛っ。別になんでもないよ」


「またまた〜。なに?オレに推理してほしい?」


「いいからいいから!ほら早く行くよ!」



きっと高遠のことだから私の考えなんてお見通しなんだろう。
でも口に出されるのは恥ずかしいので、さっさと階段を降りる。





「珠子ちゃん歩くの速すぎ…」



商店街を2人で歩く。高遠は少し息切れをしているが。



「せっかくのデートなんだから楽しもうよ」


「一緒に帰ってるだけだよ?」


「でもデート」


「…そっか」



じゃあはい。っと私は高遠に右手を差し出す。高遠は嬉しそうに左手をだす。



「いいね。なんか」


「なにがー?」


「こうやって彼氏と手を繋いで帰るの」


「嬉しいこと言ってくれるじゃん」



そのまま2人で歩き続ける。高遠は私を家まで送ってくれるらしい。



「ありがとう。高遠」



私の家が近づいたので私は手を離そうとする。



「珠子ちゃん。今デート中」


「ん?」


「圭介だから」


「あ…」



学校では恥ずかしくて高遠と呼んでいたが、2人のときはだいたい圭介と呼んでいた。
今制服だから学校というきがするんだろう。



「じゃあね。圭介…」



なんだか緊張する。
制服だからなのか。



「やばいなその顔…」


「え?」


「帰したくなくなるじゃん」



顔を赤らめて圭介が言う。そんな圭介の顔を見るのは久しぶりかもしれない。

私ももう少し圭介と一緒にいたい。



「ち、近くに公園あるけど…」


「え?」


「コンビニもある…よ」



圭介はまたへらっと笑って私の手をひいた。




「行くっきゃないでしょ」
左にリプトン、右に彼氏


(おいしー)

(オレも飲むー)

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