恋愛ヴァージン

□どういたしまして
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「離れて!!」


「やーだ」



部室には私と高遠の二人っきり。さらに詳しくいえばソファには私と私を押し倒している高遠が。


これを危険と言わずに他になんと言うのだろう。





ほんの数分前の出来事。

「部室で待ってるから」と廊下ですれ違ったときに高遠に言われ、
友達からは「彼氏に会うの?いいね〜。楽しんでらっしゃい」とからかわれ、
にやけた顔をおさえて部室のドアを開けると、
ドアの近くにいた高遠に腕を引っ張られソファへダイブした。

数分前の出来事だ。



「なんでこんなことになってんのー!!」



腰を撫でまわしてくる高遠に蹴りをいれようと私は必死に足をばたつかせる。



「そりゃあ珠子ちゃんに触りたくなったからで」



私が騒いでいることなど気にしないで高遠は私の頬に触れた。



「ひゃっ!!ちょっと!」

「最近さぁ、全然珠子ちゃんと会わなかったじゃん。オレすげー寂しかった」


「だからって!!」


「いいじゃんいいじゃん。誰も来ないし」



私の両頬を触りながら高遠は顔を近づける。



「んんっ!」



急な口付けに私は一気に顔を赤くした。



「変態…!!」


「男はオオカミだからね〜」



そう言ってまたキスをされる。
呼吸がうまくできなくて高遠の胸を必死で叩く。

ようやく口を離してくれた高遠だったけど、私は頭がくらくらしたままだった。



「はぁ…高遠…」


「その顔。それ見たかった」



高遠は私の唇を指でなぞったあと、思いっきり私を抱き締めた。



「高遠?」


「ありがと」



高遠のありがとは私が部室に来たことについてなのか。
安心しきった高遠の顔を見るとそんな気がする。


頭を撫でながら、甘えん坊になった高遠を見て私は自分から唇を近づけた。

















どういたしまして


(私って幸せ者なんだ)

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