あの海の彼方に

□あの海の彼方に
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パタパタパタ・・・

夢の中、遠くから聞きなれた音がする。あれは・・・ミッションに向かう時によく乗っていた小型ヘリだ。
『シンラ型式βー2』。二十人乗りの小型ヘリ。狭い場所にも楽々着地。
結構揺れるんだ、あれは。
小型ヘリ??

ザックスはがばりと飛び起き、きしむ古い木のドアを足で蹴ってあけると上空を凝視した。
夜空に点滅を繰りかえす赤いライトが記憶にある綺麗な菱形を作る。間違いない。神羅の軍用ヘリだ。
二機か。たいしたことないな。
ザックスは素早く壁に吊るした戦闘服に着替えると、クラウドを起こした。

「おい、来たゼ。地獄からの使いがさ」
ザックスはクラウドを着替えさせるとすぐに裏手にある差し掛け小屋に飛んでいった。目をこらせばこれくらいの暗闇はどうということもない。ガラクタの山から愛用のバスターソードを引きずり出す。

取っ手を握りブンと一回ふるって絡まった布をほどくと、体内の細胞全てから熱いほとばしりを感じる。

この日が来るのはある程度予想していた。
まずは神羅兵を殲滅する。ソルジャーがいなければラッキーだ。
そしてヘリを破壊し、船を奪取して海へと逃走する。ヘリは・・GPSを搭載しているので、奪うより壊すほうがいい。

うん、オレもまだそう捨てたもんじゃない。頭の中に戦闘シミュレーションが次々出来ていく。ザックスは臨戦態勢へと体が熱を持って変わっていくのを皮肉な喜びを感じながら味わった。

今の至上ミッションは、敵を殲滅して朋友を救いここを脱出すること。単純なことだ。いつもやっていたことじゃないか。
全身からオーラが湧き上がるのを感じる、ほとんど性的興奮に近い戦闘への切望に血がたぎる。
そう・・・オレはソルジャーだ。
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