花びらが舞い戻るとき

□第十四話
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「…ふぅ。」


一通り素振りを済ませ、悦は一息ついた。


神経を研ぎ澄ますと視線は女子部員と何人かの教員ぐらいだろうというのが分かる。


「ね、ねぇ…本当に初心者…?」


まず声をかけてきたのは、朝香だった。


続いて来た七瀬も同じことを言いたそうだ。


返答に困っていると、そこへ葉月と水無が。


「経験者よー!ただ、昔過ぎて言いたくないんでしょ?」


冗談交じりにそう言ったのは葉月だ。


なんでもないその言葉。


悦は少しだけ息をのんだ。


違う。


彼女の言う昔と私の昔は違う。


分かっているのに。


「…幼い頃にやっていただけなので。」


「そうなのー?上手いねー!」


純粋に笑う朝香に軽く頷く七瀬。


「さってと…。」


葉月は二年生の顔を見回し、言葉を紡いだ。


「まずは基礎の走り込みに素振り。結崎さんは分からないことあると思うから、遠慮なく聞いてね。」


「、はい。」


はい!とハッキリした声が部員から聴こえる。


悦は気圧されながらも返事をした。


そうして、悦はまず指示された通り、走り込みを開始した。




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