短編
□ずっと前から
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「リョーマ、一緒に帰ろ〜♪」
「俺、部活なんだけど…」
「じゃあ待ってるから…ね?」
「はぁ…、わかったよ」
大きなため息をついている男の子は越前リョーマ
青学1年のテニス部でレギュラーをしている
そんで私はなまえ
青学1年でクッキング部
リョーマとは家が隣同士の幼なじみってとこかな
「じゃあ私調理室行って、なんか作りながら待ってるね」
「はいはい…」
「終わったら調理室来てよね?わかった?」
「わかったって」
無愛想に言うとリョーマは荷物を持って教室をでていってしまった
「もぅ、素直じゃないんだから」
ボソッと呟くとなまえも荷物を持ち調理室へ向かった
――――――…
「さて、何を作ろっかな♪」
私は持参したお菓子本を手に取るとペラペラとページを捲りどれを作るか決める
「あっ、これなんかリョーマ好きそう」
開いたページには"抹茶のシフォンケーキ"が載っていた
「和食好きだし、抹茶だったらそんなに甘くないもんね」
私はニマッと笑うと調理室にある冷蔵庫を開き材料を取り出すと作業に取りかかった
「よっと…、後は焼き終われば完成っと♪」
なまえは暖めておいたオーブンを開き、生地を流し込んだ容器を鉄板の上に乗せて閉めると"ピピッ"っと時間を設定してボタンを押した
「美味しくできますように…」
なまえが何か作る際いつも言う言葉
「リョーマ…喜んでくれるかな」
もう察しがつく人もいるだろうが私はリョーマが好き
小さいころからずっと…
でもリョーマはそんな風には思ってないだろうけど
片思いでも十分…
だって、告白してダメだったら気まずくなるのは見え見えだし、そんなの嫌
だったら好きって言わないでずっと片思いのままでいい
「暇になっちゃった…」
ケーキが焼きあがるまでまだ30分位ある
「……眠くなってきちゃった」
"ふぁっ"っと大きなあくびをしたなまえ
昨日は遅くまで調べものをしていたので今頃になって眠気に襲われた
「アラームセットして少し寝よ」
おもむろに携帯を取り出すとアラームを30分後にセットして浅い眠りについた