短編
□悲しみの向こうに
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「……別れて」
「…は?」
私だってこんな言葉言いたくない、言いたくない…けど
「もう、リョーマのこと好きじゃないの…、嫌いなの」
「………」
「だから…わかれ「ヤダ」…っ」
お願い…、そんな事言わないで……
「ごめん、嫌いなの…ごめんリョーマ…!!」
「あっ…、なまえ!!」
私はその場から逃げるようにして走った
大粒の涙を流しながら
本当は好き、リョーマが大好き
別れたくなんかなかった
離れたくなんてなかった
でもこうするしかなかったんだ
だって私はもうすぐ死ぬのだから
それは突然の出来事
つい1週間前、突然頭が痛くなったり、意識が朦朧としたりして私もどうしたのだろうと思った
母に相談し、掛かり付けの病院に行き検査を受けた
結果は……、脳腫瘍
しかもかなり大きく、摘出するのが難しいとの事
手術しても助かる確率は10%
そして医師から告げられた言葉
『余命あと1ヶ月でしょう』
医師の言葉に絶望するしかなかった
だから、どうせ死んでしまうのならリョーマとは別れたほうがいい
その方がきっとリョーマの為になる…
でもね…、本当はそれでも一緒にいたかった
リョーマが他の子と付き合うなど考えたくもない…
リョーマ…リョーマ……
こんな自分勝手な私を許して……
――――――――――…
リョーマに別れてと告げた次の日に、私は病院に入院した
私はただボーッと外の風景を眺めていた
でも考えてるのはリョーマの事ばかり
忘れなきゃいけないのに…わす…れな……きゃ
―ポタッ
私の瞳から溢れた涙かベッドのシーツを濡らす
忘れなきゃと思えば思うほど涙が溢れて止まらない…
「リョーマ……、リョ…マぁ…」
私は彼の名を呟きながら泣くことしかできなかった
そして、思いが増すばかり
「好き…、大好き…なの……に、私…わた…し」
そんな時、なまえの病室のドアが開いた