短編

□届け、この想い…
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「何体育座りしてんの?みょうじ」






突然音楽室のドアが開かれたかと思うと、彼の声が聞こえてバッと伏せていた顔をあげる






「えっ、越前君…?
なんで?…部活は?」


「ちょうど今終わったとこ
それよりさ、さっき変な音聞こえたんだよね」


「(ギクッ)へっ、へぇ〜…」


「みょうじ知らない?」





いや、知ってるも何もバッチリ見てたじゃないですか



なんか越前君の笑顔が妖しいのは気のせい?







「クッ、みょうじと最初に合ったときもこんな感じだったよね」


「えっ…、それって」







私が越前君に恋した日…の事?








「テニス部の部室の近くで壁打ちしてた時さ、バイオリンの音色が聞こえて…」





そうだよ、私…貴方の近くでバイオリンをひいてた




まさか人がいるなんて思わなかったから






「なんだろって思って、音色を頼りに探してみたらそこにはみょうじがいた」






うん、私も貴方を見たときすごく驚いたけど



目が合った瞬間…、私は貴方に恋をした







「そしたら顔真っ赤にしてさ、挙げ句のはてには変な音と声あげるし」






…顔真っ赤だったんだ、私





だって見とれてたんだもん!
仕方ないじゃん!


あと変な声には触れないで欲しかったです…、はい













って、越前君…なんか近くないですか?







気がつけばさっきまでドアにいた越前君はあっという間に私の目の前に…





私が気づかなかっただけ?







目の前にいる越前君はニヤリと笑って言葉を続ける







「でも…、なんか可愛いなって思った」






…へっ?

…えっ?




「え、越前く」





…今、なんて?







「俺を見て顔真っ赤にしたみょうじの事、可愛いなって思ったって言ったの」


「え、ちぜん君…、それってつまり…」








私と同じ気持ち…なの?








「俺、みょうじの事が好き
みょうじは俺のことどう思ってる?」


「…そんなの」





決まってるじゃない…






「私も越前君が好き…です」


「ありがと」





私も好きと伝えると越前君は優しく抱きしめてくれた


嬉しくて、嬉しくて…


熱くなった目頭からは数滴涙が零れた







その後、なんで私を好きになったと尋ねると少し照れたように微笑むとこう言ってくれた





"初めてみょうじに会ったとき、バイオリンひいてる姿が綺麗でさ
ある意味一目惚れかもね"




神様


どうやら、私の思いはしっかり彼に届いていたようです







(届け…この想い)

(越前ーーー!!どこだぁ!!
部活まだ終わってねぇぞ!!)

(…)

(…越前君?部活終わってなかったの?)

(…知らなかっただけ)

((笑ってるから絶対嘘だぁ!))





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