長編

□サボり×屋上=?
1ページ/2ページ








サボり×屋上=?







キセキの世代のエース、青峰大輝は授業をまともに受けたことは無い
屋上や木の上でさぼっている事が多い
この日も青峰は屋上へと続く扉を開けた

いつもと同じように教室を出た
いつもと同じように階段を上った
ただこの日の屋上はいつもと同じではなかった

扉を開けると先客がいた
女子生徒が一人、柵の向こうに立っていた

「…、なにやってんだよお前!!」

走り寄って女子生徒の腕を掴む

「落ちたらどーすんだよ、ここは屋上だぞっ!?」

これ以上無いくらいの大声で叫ぶ
すると女子生徒は掴まれていないほうの手の人差し指を青峰の唇に押し付けた

「うるさいぞ。ここにいるのがバレたらどうしてくれるんだ」

これが青峰と『先輩』の初めての出会いだった























「…で、アンタは一体何してたんだよ」

柵の内側に二人は座り込んでいた

「私はただあそこに立っていただけだ。とくに何もしていないよ」

「何もしてねーならあんなトコたつんじゃねーよ!
自殺すんのかと思ってビックリしたじゃねぇか!!」

「また大きな声を出す。もっと静かに出来ないのか、君は」

再び人差し指を青峰の唇に押し付ける

「とは言え、心配してくれたのは有り難いな。
礼を言うよ、ガングロ君。ありがとう」

今度はペコリと頭を下げた
それにつられて青峰も頭を下げる

「てか『ガングロ君』ってなんだよ」

馬鹿にしてんのか、と睨むような視線を送る
それを意にも介さないように笑って言った

「だって私は君の名前を知らないし、君、黒いじゃないか」

「なんだよそれ。いーか、俺の名前はなぁ」

「言わなくていいぞ」

青峰の言葉を遮るように掌を向けた

「君は私を助けようとしてくれた。まあ、私には死ぬつもりも無かったが。
だから恩人とまではいかずとも友人ということにしておこう。
屋上で出会った名も知らぬ友人。面白いじゃないか」

つらつらと述べながら、腕を組み、仕切にうんうんと頷く

「あ、君は私の事を『先輩』と呼べばいい。私は君を『ガングロ君』と呼ぼう」

青峰の意志に関係なく決めていく
彼女はその答えに一人納得したように再び頷く

「自己チューすぎねえか、アンタ」

呆れたように溜め息をつく

「よく言われるよ」

気にとめる様もなく、『先輩』は笑った
















自己チューと出会う
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ