長編

□腕枕×昼寝=?
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腕枕×昼寝=?








ある晴れた日の昼下がり
青峰と先輩はいつものように屋上に居た

「なぁ、ガングロ君」

この日は先輩もめずらしくそこで寝転がっていた
青峰は相変わらず自分の腕を枕にしている

「なんだよ」

のんきな彼の声が響く
それに返す先輩ものんきな声だ

「知ってるかい?」

彼女が腕を空に伸ばすように高く上げた
晴れた空には何かの鳥が円を描いて飛んでいた

「鳥でなくても、空は飛べるんだよ」

その鳥を捕まえるように手を握り締める
訳が分からない、といったように先輩を見る

「いきなりなに言ってんだよ」

さぁ、と彼女は首を傾げた
日の光がまぶしいのか目を細めている

「そろそろかな、と思ってね」

「なにが」

「それは教えてあげない」

ふふ、と笑う
何度見てもその笑顔には慣れない

「君がこの答えを知った時」

晴れた空に彼女の声が良く通る

「私達の関係は終わりだよ」

「…は?」

その声は突然終わりを告げた



























ふと目が覚めた

寝返りを打とうかと思ったが、体を動かすことができなかった
青峰の伸ばした右腕の上に先輩の頭が乗っている

そういえば、と先程の事を思いだす
あの後、先輩が眠いと言いだしたので自分の腕を枕に提供したのだ

(…さっきの、何だったんだ)

鳥以外のモノが空を飛ぶ
その答えを知った時がこの関係の終わり

彼女は確かにそう言った

(んなもん、いくら考えてもわかんねーよ)

見つからない答えに安堵する
自分から関係を終わりになんてしたくなかった

「…なぁ」

そっと先輩の髪を撫でる
よほど熟睡しているのか起きる気配は全くない

「オレは、アンタが好きだ…」

答えないと知っていながら呟く
聞こえていなくてもいいと思った

だから、と続ける

「終わりなんか来やしねーよ」

(オレが答えを見つけなければ、終わることはない)

もう一度、撫でてやる
今度はくすぐったそうに僅かだが身を捩った


















答えのない告白

(…今度は起きてるときに言おう)







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