長編

□プリクラ×携帯=?
2ページ/3ページ







その後、なんとか最後に青峰はやっとポーズをとって撮影することができた

でき上がったプリントシールをハサミを使って先輩が切り分けていく

「ガングロ君、携帯持ってるかい?」

ごそごそとポケットを漁って携帯を出す
それを彼女の手に乗せると、ありがとう、と答えた

「…ってなにしてんだよ!」

青峰が叫んだ
結構大きな声だったが店内の音楽に掻き消されて気に留めている人はいない

彼が叫んだのは無理もない
先輩が渡された青峰の携帯に先程とったばかりのプリクラを張り付けていたのだ

「これでお揃いだな!!」

笑顔で自分の携帯も取り出した
そこにも先程のプリクラが貼られている
ふふ、と嬉しそうに笑った

「人のモノに勝手に貼ってんじゃねーよ!」

彼女の手から自分の携帯を取り上げる
しっかりと貼り付けられたそれはなかなか剥がれない
必死にはがそうとする青峰の後ろでえー、とブーイングをあげていた

「いいじゃないか、お揃いで」

初めて撮ったのに、と呟く
うるさい店内でよくそれが聞き取れたかと思うほどの小さな声だった

「…初めて?」

そう、と頷いた

「赤司とも、撮ってねーのか…?」

「なんで征十郎と撮らなきゃならないんだ?」

首を傾げて聞き返してきた
なんでもねーよ、と返しておいた

(なんか、赤司に勝った気がする…)



















「なぁ、一つ聞いていいか?」

ゲームセンターを出た後、二人は来た道を学校に向けて歩いていた

「なんだ?」

青峰の顔を見ずに先輩が返した

「アンタと赤司ってどんな関係なんだ?」

出来るだけ感情が出ないように声を抑えながら聞いた

「征十郎はただの幼馴染だけど?」

質問の意図が分からない彼女は首を傾げながら言った

「それは知ってるよ。そーじゃなくて、その、なんだ、ほら、」

語尾がごにょごにょと濁る
はっきりと聞くのが少し怖い気もした

「こ、恋人、とかそういうんじゃ」

ぷっ、と先輩が笑った

「別に征十郎とはそういうんじゃないよ。でも、そうだなぁ」

顎に手を当てて少し考えるようなそぶりをした

「征十郎は、初恋の相手、かな」

フラれたけどね、と困ったような顔で笑う

「…フラれた?」

なんで、と聞く

「さぁ?でも嫌いだってはっきり言われた
まぁ、初恋は実らないというしね」

両手を組んで高く掲げ、背伸びをする
学校まではあと少しだ

(赤司は先輩の事が好きなんじゃねーのか…?)

先日の彼の言葉を思い出す
アレは完全に青峰に対する宣戦布告だったように思う

数歩先を歩く先輩がくるりと振り返った
風でスカートが揺れる

「今日は付き合ってくれてありがとう、ガングロ君」

また明日、と言って学校までの道のりを走って行った

青峰はもう一度携帯を見た
そこに張られたプリクラの中では先輩が笑っていた

「ん?」

小さいそれにはハートや星の加工がしてある
その中に小さく隠れるような文字列があるのに気づく

「ん〜?」

目を細めてそれを読む
かぁ、と顔が熱くなった

『I Love You』

と少し崩した自体で書かれている

本当にこの日の先輩は積極的だった















君からの告白

(先越された…)



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ