キス狂さんへ2

□はじめての夏祭り
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「ねぇ、今夜お祭りに行こう?」



ユチョンヒョンからのお誘い
本当は僕からも誘いたかったけど、
なんだか気恥ずかしさが優ってしまい誘えずにいたんだ

勿論、即答で頷けばフニャフニャ笑いながら「やったぁー♪」なんて喜ぶ

僕も嬉しさに顔が緩む


気付けば浴衣を着ていたユチョンヒョン

僕の目の前に現れたヒョンは綺麗で…

深紫色の浴衣、緩めに結った髪、いつもよりも高い体温で甘めに香り立つユチョンの香水


その全部に僕は息を呑まずにはいられない



そんなヒョンに「行こう?」なんて手を引かれたまま家を出た





カランコロンと耳に届く下駄の音
歩きにくそうだなぁなんて思いながら僕に出来るのは、歩幅を合わせることくらい


近づいてくる沢山の灯りと人の声

賑やかなお祭に僕とユチョンヒョン、二人きりで初めてのデート





「チャンミン、はぐれちゃうから手、繋いで?」

「へ、ぁ、はい!!」




なんだか今夜のユチョンヒョンはいつもよりも甘えたで、
僕は自分でも笑ってしまう位に顔を真っ赤にしていた




繋いだ手が汗ばむ
僕ばかりが緊張しているからだろうか?



「わっ……」

「おっと……ヒョン、大丈夫ですか?」



所狭しと沢山の人が行き交うなか、
並んで歩くのが難しいからとユチョンヒョンの手を引っ張り先に歩いていた

十分、浴衣を着ているヒョンの狭い歩幅には気をつけていたけど、
すれ違う人にまでは気が回らなかった



ふいに後ろから押されたユチョンヒョンが僕の背中にぶつかる




瞬間、自分の思考を疑った





今、背中にくっついた状態のままのヒョンに違和感を感じたんだ



ユチョンヒョン……もしかして…
浴衣の下って………




「ヒョン…あの……今…下着を着用していますか……?」


一言、パンツを履いているのか?と聞けば良かったのに、まどろっこしい問い方をしたのは信じられないほど動揺をしているからです…




「だってぇ…暑かったんだもん……」


「ヒョ、ヒョンッ!?パンツ履いてないんですかッ!?」


「ちゃみぃ……勃っちゃったぁ……」


「だ、駄目ですょ!!こんな人だかりでッ!!」


「ゃあ……ほらぁ、ここ今すぐ触ってぇ…ちゃみぃ………」


「ゆ、浴衣捲っちゃ駄目ですッてば!!ヒョンッ!!!」



そんなダイレクトに魅せられたら我慢がっ!!



「ユチョンヒョンッ!!もう我慢出来ませんっ!!!!!!!!!」













………………あ、れ?




ここは……僕の、部屋…?
お祭は……




「ユチョンヒョンッ!?」


「んむ、ぅ……………」






僕の隣には素っ裸のままシーツに包まって寝息を立ててる恋人がいた


夢……だったのか………







「はぁ〜…………」


「お、朝一にふっかぁーい溜息なんてどうしたんだ?!」



悶々とする頭と身体を鎮めるためシャワールームへ向かえば、
朝っぱらから元気なジェジュンヒョンにからかわれる




「いやぁ……さっき変な夢見ちゃって………僕って欲求不満…なんですかねぇ………」


「お前は性欲の塊だろ?
なぁなぁっ!!お前どんな夢見たんだよッ!!」



殴る気も失せるほどの鬱陶しさ
だけど、この何ともやり切れない感じを笑い話にするには誰かに話した方が良いんじゃないかと思った




「アッハッハッハッ!!!!!
お前そうとう欲求不満だなっ!!」



やっぱり殴りたい。



「まったく朝から煩い。
シャワー浴びてきますから!!
良いですかっ!他言無用ですからねっ!!アンタは口が軽いんですからっ!!」


「ォイッ!誰が口軽いって!!
……まぁユチョンには言っちゃうけどなぁ〜♪」
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