キス狂さんへ2

□星合い
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織姫と彦星は仲が良すぎたために自分の仕事を疎かにしてしまった罰として離れ離れになってしまった

だけれど、あまりにも織姫の寂しそうな姿を見兼ねて、一年に一度だけ逢う事を許してもらえたのだと言う





僕たちは、彼女たちと同じ様に出会ったその瞬間に惹かれあった

毎日2人で居る事が幸せだった
ただ、僕は貴方の隣に入れるだけで良かった…それしか望まなかった…




それなのに離れ離れになった……





淋しくて、悲しくて、悔しくて…
独りで泣いても泣いても気が晴れる事なんかなくて…


それでも、貴方がいない状況は何一つ変わる事はなかった




織姫は淋しいと嘆く姿を見せたら逢う事を許してもらえたのに…

なのに僕と貴方が逢えないのは何故?









『七夕っていつも雨が降ると思いませんか?』


『七夕の日に降る雨ってね、逢う事が出来ない2人が流す涙だって言われてるの知ってる?』




一度だけ貴方と過ごした七夕の夜

その日もまた当たり前かのように雨が降っていて、空は真っ暗で星なんて見えるわけもなくて


今年も織姫と彦星は逢えなかったんだなと思っていた僕に貴方は教えてくれたんだ





『俺はさぁ、逢えなかった悲しみの涙じゃなくて逢えた幸せの涙だって思ってんの。チャミナもそう思わない?』


『そうですねぇ。そう考えた方がこの雨も憎まれずに済みますもんね?』


『うん。きっとさ、俺たちが知らないだけで2人はちゃんと逢えてるんだと思うんだ…』


『僕なら天の川を何としてでも渡り切ってユチョンに逢いにいける自信ありますし。』


『フハッ!!チャミナったら頼もしぃ織姫のだこと!!』


『貴方は手を振って待っていてくれるだけで良いんですからね?』







笑い合いながら二人で話した


あの時言った事は冗談でも嘘でもなかった
どんなに無理だと言われたって、その先に笑って僕を待っていてくれる貴方がいるなら、僕はどんな手を使ったって逢いにいけると思った





だけど…
今の僕は貴方に辿り着けないで居る…

死んでしまったわけじゃないのに…
それなのに逢えないでいる…

無理なんて言い訳だ………






【お前に逢いたい】


ただ、この一言だけでも貴方は僕にくれるのに…








「駄目なんですよ、ユチョン……」



僕たちがあの夜他愛もなく話していたことは所詮、僕たちの都合の良い願い

言い伝えの通り、
雨が降って、かさを増した天の川は罪を犯した2人を赦さなかったんだ





この雨は


悲しみの涙なんですよ……








だから…


貴方も僕も逢えないんです………
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