Shortstory
□誕生日
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バロンはハルをゆっくりと降ろすとハルに尋ねる。
『でどういった話なのかな?』
『前にも聞いたと思うけどバロンの誕生日っていつか分からないんだよね?』
『あぁ。気づいた時には私はいつの間にか心を宿していたからね。』
『だったら今日がいいなと思ったの。』
『何故なんだい?』
ハルは恥ずかしそうに
『8と6でバロンと読めるでしょう?』と答えた。
だがハルは(こんな単純な事でバロンの誕生日を決めるなんて私って子供だよね。さすがのバロンも呆れるかな……。)と今更ながら後悔していた。
『私の為に誕生日を作ってくれてありがとう。ハル。』バロンは嬉しそうに言った。
ハルの後悔はその一言で吹っ飛んだ。
『うん。じゃあバロンの誕生日プレゼントを買いに行って来るね。』
ハルは事務所を後にしようとすると、
『待ってくれ。ハル。今日は君も誕生日だろう?
違うかい?』
以前ハルはバロンの誕生日を聞いた後バロンに自分の誕生日を聞かれた時に言っていた。
『うん。よく覚えてたね。』
『ハルの事に関して忘れるわけがない。それにハ事務所の周りの街をハルと一緒に散策したかったから丁度いい機会だ。
一緒に街で誕生日プレゼントを買いに行かないか?』
(バロンにステッキを買ってあげてビックリさせたかったけどもう無理かな。一人で行くって言ったら一人じゃ危険だとか言われるからね。仕方がないか…。)
『うん…。でもあんな綺麗な指輪だって貰ったからいいよ。』
『誕生日とプロポーズは別だよ。さぁ買いに行こうか。』
バロンは部屋に戻って部屋着から正装に着替える。やはり夏は暑いので上着ではなくベストを着ていた。
『ムタ、トトも一緒に来るかい?』
急に話を振って来るから 二人は少し戸惑うが
トトが
『男爵。君達の為に何かお菓子を買いに行くから二人で楽しんでおいで。
ほらムタ行くぞ。』
と言って二人は一足先に行ってしまった。
『私達も行こうか。』
バロンに促されてハルも行く事にした。