ワールドトリガー
□『嘘吐きは災いの始まり』っ!!・・・あれ?
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「苗字」
結局イレギュラー門の対策については迅さんに一任されることになった。
あと三雲君の処分の件も。
そして私は今、何故か小寺の隊の隊長さん(確か三輪先輩)に呼び止められている。
三輪先輩が私の名前を知っていたことに驚きだ。
「はい?なんでしょう」
「古寺が君を呼んでいた。下のホールで待っているとのことだ」
「古寺がですか。分かりました、ありがとうございます」
三輪先輩も城戸さんと話があるだろうし、今逃げ切れれば一緒に下へ降りるなんてことないと思っていたんだけど。
どうやら城戸さんとの話もとっくに終わっていたらしく、結局一緒に下に行くことになってしまった。
お互いあんまり話すようなタイプの人間じゃないから沈黙がひたすら私に刺さってくる。
「…苗字は」
「?」
「今回の件が迅に任されたことについてどう思う」
沈黙を破った三輪先輩の質問。
このまま黙って下に行くものだと思っていたのでびっくりした。
だけどそれよりも三輪先輩の質問に言葉が詰まった。
きっとこの人は、私が迅さんが苦手なことに気づいてる。
気づかれたといって困ることじゃないが苦手な理由が理由なだけに、その話題が出されるとバツが悪い。
「適任だと思っています」
「理由は」
当たり障りの無い返事を返したら真意を問われた。
え、この人怖い。
「私には、迅さんみたいなサイドエフェクトも持ってませんし実力もありません」
「それは、君の本音か」
「…正直いい気はしません。だけど、今回の件を迅さんに任せることが最善っていうのは事実です」
ぶすっとした顔で答えてみれば三輪先輩に驚いた顔をされた。
理由は知らない。
だけどそんな顔も一瞬で、すぐさまいつもの無表情に戻ってしまった。
「何で驚くんですか」
「正直君が本音を言うとは思っていなかったからな」
「ちょ、失礼じゃありません?」
私の抗議を華麗にスルーされ、三輪先輩は「少し気になっていただけだ」とだけ言いどこかへ行ってしまった。
一体今の会話に何の意味があったんだろう。
あの先輩は告げ口とかしないと思うから別に構わないんだが。
(何か釈然としない)
そうは思っても仕方ない。
また古寺を待たせるとうるさいし面倒だから急いで下に向かうことにしよう。
「遅い!」
「ねえ古寺それ言いたいだけじゃない?」
走っていったけど結局怒られた。