ワールドトリガー

□逆回転する時計
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三門市、人口28万人。

ある日この街に異世界への門が開いた。

「近界民」後にそう呼ばれる異次元からの侵略者が門付近の地域を蹂躙、街は恐怖に包まれた。

こちらの世界とは異なる技術を持つ近界民には地球上の平気は効果が薄く、誰もが都市の壊滅は時間の問題だと思いはじめた。

その時。

突如現れた謎の一団が、近界民を撃退しこう言った。

「こいつらのことは任せてほしい」

「我々はこの日のためにずっと備えてきた」


近界民の技術を独自に研究し、「こちら側」の世界を守るために戦う組織。

界境防衛機関「ボーダー」

彼らはわずかな期間で巨大な基地を作り上げ、近界民に対する防衛体制を整えた。

それから4年。

門は依然開いているにも拘わらず三門市を出て行く人間は驚くほど少なく。

ボーダーへの信頼に因るものか、多くの住人は、時折届いてくる爆音や閃光に慣れてしまっていた……




「苗字ー?」


三門市立城南工業高校。
三門市の山の中腹にあるこの高校に私は通っている。


「…何ですか?」

「ボーダーから学校に連絡があった。至急本部に向かえだそうだ」


実験室からの帰りの途中の廊下で先生に呼び止められそう言われた。
どうしたんだろう、最近あんまり呼び出しも無かったのに。
隣を歩いてる友達が白衣と実習道具を持っていってくれるとのことで預け、急いで駐輪場に向かう。


「頑張ってね!」

「レポートは今週中に提出だからな」


走っている後ろで聞こえる友達と先生の声に思わず溜め息を付きたくなった。
いや、友達からの声援は嬉しいんだけど。
レポートの提出期限は知りたくなかった。

駐輪場に着き自分の愛車(ロードバイクだけど)を見つけ出し跨る。
ちなみに今の私の服装は制服ではない。
今回みたいな緊急の召集の時の為に、下にサイクルウェアみたいなものを着てみている。
制服は脱いできた。

携帯をみれば同い年のA級隊員からの履歴で見事に埋まっていた。
電話して伝えたかったがロードバイクで坂道を下ると斜度によっては80Km/hは出るので無理。

エナメルバックに携帯を入れヘルメットを被る。
ビンティングペダルにシューズのクリートの先端部分を取り付けたら、


「行きますか!」


自動車でも登るのが嫌になるようなかなりの斜度の下り坂を駆け下りた。




  
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