ワールドトリガー

□みらいいろのせかい
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「やっほー名前ちゃん。元気にしてた?」

「元気ですよ。というか毎回毎回遅刻しないで下さい」


毎回古寺に呼び出しされてる私が言えることじゃないんだろうけど。
迅さんが来たことでやっと始まった会議。
早速三雲君の処分の件を持ち出すと思っていたのだが、どうやら城戸さんは違かったらしい。


「昨日から市内に開いているイレギュラー門の対応策についてだ」


…三雲君のことはどうするのだろう。
この場合は最悪クビパターンな気がする。

(それはそれで可哀想)

迅さんなんて状況掴めてない上に全く関係なさそうな三雲君は誰だみたいな目で私を見てくるし。
折角便利なサイドエフェクト持ってるんだからこういう時に活用していただきたい。
別に、この人を嫌いというわけではないが、あまり関わりたくないというのが本心だ。

私もS級という枠組みの中に入ってはいるがこの人ほど強いというわけでも有能といわけでもない。
黒トリガーの恩恵にあやかっている時点でこんなことを言うのも、適合しなかった人たちには悪いんだろう。
だけどこの人と居ると自分とこの人の間にある実力という大きな壁が浮き彫りになるようで嫌になる。

迅さんは何も悪いことをしていないから本人にも本当に申し訳ないと思っている。
でもこればっかりは悲しき人間の感覚というもののせいであまり一緒に居たいとは思えないのだ。
なので無視。


「待ってください。まだ三雲君の処分に結論が出ていない」


忍田さんの発言で我に帰る。
どうやらあんまり話は進んでいなかったらしい。
寧ろ進んでない。


「結論?そんなの決まっとろう。クビだよクビ。重大な隊務規定違反、それを一日に二度だぞ?」

「他のC級隊員にマネされても問題ですし、市民に「ボーダーは緩い」と思われたら困りますしねぇ」


すぐさま忍田さんに反論する鬼怒田さんと根付さん。
鬼怒田さんなんてかなり言って、迅さんは三雲君に「すごい言われようだな」とか言ってる。
三雲君も気まずそうにしているし。

三雲君のクビという処分に渋る忍田さんの報告や、A級の木虎さんの話を聞けば、やっぱり三雲君は悪い人ではないように感じる。
悪い人どころかさっきも言ったように正義感の強い良い人じゃないか。

根付さんがクビにすると言えば私もそれに従うつもりだけど、何だか彼をクビにするのは勿体無い気がした。
滅多にボーダー本部に来ることの無い私には正直どうでもいいはなしなんだけど。
仕事と緊急招集が無い限りここには来ないのだ。


彼をクビにするよりB級に昇格させてその力を発揮してもらおうと提案に、城戸さんは三雲君に問いかけた。


「三雲君。もし今日と同じようなことがまた起きたら、君はどうするかね?」


予想していた通り、三雲君の答えは「助ける」とのこと。
やっぱり彼をクビにするのは勿体無い。


「三雲君の話はもういいでしょう。今はとにかくイレギュラー門をどうするかです!」


死亡者18名、重軽傷者100名以上の大損害。
第一次近界民侵攻以来の大惨事となった今回の事件の真相は、まだ分かっていない。

この事件については、私は招集が無かったのでイマイチ内容を把握していない。
前々からイレギュラー門が多発しているという話は聞いていた。
実際私の前で門が発生していた、勿論倒したけど。


「ふむふむ…」


熱論する幹部達をよそに携帯で何かの動画を見ている迅さん。


「見て見て名前ちゃん、これ根付さんに見せたら喜ぶと思う?」

「…どうなんでしょう。多分喜ぶと思いますよ」


あの人報道のネタ大好きだしね。
スポークスマンなだけはある。

  
 

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