ワールドトリガー
□総ては誰が為に
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「害虫駆除をしろ…?」
迅さんから謎の玉狛支部への勧誘をされた次の日。
学校も無事終わり、なんとか提出日ギリギリでレポートも提出できて一安心した放課後。
本部へ向かおうと駐輪場に向かっていた私に届いた根付さんからのメールに首を傾げた。
どうやら迅さんがイレギュラー門の原因を突き止めたらしい。
まったく嫌味なほどに仕事が速い人だ。
根付さんからのメールの内容は学校周辺の小型近界民の駆除。
ボーダーの総力を挙げても時間がかかることのことで、ここまで人員が裂けないとのこと。
(だからって私ひとりで学校周りを担当するのは無茶過ぎやしませんか)
文句を言っても仕方が無い。
私は言われた仕事はきっちりこなす主義なのだ。
「とりあえず、校長室行こう」
まずは校内放送をかけてもらって一般生徒を避難させなきゃ。
「名前ちゃーん!こっちにいたよ!」
「何故こうなった」
一般生徒を校舎内に入れてもらおうと思ってかけてもらった校内放送。
…のはずが、何故か私のクラスの人達だけが私の元に来て手伝い始めたのだ。
さっきから私あんま自分で探してないんですけど。
女子は場所を教えてくれるだけで触らないでいてくれるから安全なんだけど、男子はそうもいかない。
あいつら素手で小型近界民持ってくる。
「苗字!これもよろしくなー」
「教えるのは場所だけでいいから持たないでよ」
「こいつらきもちりーな!」
「人の話を聞け」
皆の手伝いの甲斐もあって駆除の方はかなり早く終わった。
どうやらこっちの方にはあまり居ないと聞いていたのだが、今私の目の前には小型近界民が山のように積みあがっている。
トリオン体の状態で死骸の山をバックにクラスの皆と写真を撮ったもんでなおのこと仕事をした気がしない。
友達は「たまにはこうやって仕事をしてみてもいいんじゃない?」と言っていたが、性格上やっぱり気になってしょうがない。
「じゃあ私は他の区域の手伝いに行ってくるから」
「了解!」
「頑張ってねー」
このままトリオン体の状態で他の手伝いに行った方が楽だと思いそのままグラウンドから学校の屋上まで、壁の凹凸を足場に登る。
下の方で騒ぐ声が聞こえたもんで振り返って小さく手を振ってみた。
「頑張って!」
いつも学校から任務に行く時に聞く言葉なんだけど、何故か今日はどこか特別に聞こえて。
(頑張ろう)
思わず頬が緩んだ。