ワールドトリガー

□たった一つ願いが叶うのならば
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ここでひとつ昔話をしようと思う。


この話は私、苗字名前と、



優しく泣き虫な男の子の話。






まず最初に私の話をしようと思う。


根付さんに引き取られる前。

私はとある仏教系の児童施設に居た。

私が施設に預けられた理由は父親の経営する会社の倒産。

両親は私を連れて逃亡することを懸念し、私を施設に預け闇に消えた。

別に、両親を恨んでいるわけじゃない。

どこぞの主人公の様に物心つく頃から親の顔を知らないだなんてことはなく。

両親には愛してもらっていたし私も両親が大好きだった。

最初預けられると聞いた時は泣いて反対したのを覚えてる。

だけど、私を抱きしめて、何度も「ごめんね、ごめんね」と泣きながら謝る両親がどんな気持ちで私を手放すのかと考えると何も言えなくなるのだ。

私はあの2人に愛されていると、愛してくれているからこそ危険に晒したくない。

だから預けるのだと。





私が預けられた施設には、1人の男の子が居た。

私と同い年の金色の髪の男の子。

髪の色が違うというだけで周りの子供達から虐められ毎日のように泣いている子だった。

髪が見えないように帽子を深く被って下を向く。

私は、そんな彼の唯一の友達だった(自称だけど)。

毎日のように遊んで、1人でいたら声を掛けて、ご飯を食べるのも寝るのも一緒。

彼も私のことを信頼して私には時たまはにかんだ笑顔を見せてくれたのだ。

ふわふわした金髪、綺麗な青い眼。

そんな彼が笑った顔はまるで女の子みたいだと、彼の笑顔を見るたび思っていた。



「  のかみはきれいな色だね」

「名前はいっつもそれ言うよね」

「だってほんとにきれいなんだもん!わたし黄色ってすきだよ、  の色!」



私は彼にそう言った時の、照れくさそうな顔が好きだった。

泣き虫で、優しい”   ”。

どうして彼が仲間はずれにされるのか、幼い私には分からなくて。

皆話せばきっと分かってくれると淡い期待なんかを抱いたりもして。



「わたし、  のことならどこにいたって見つけてあげられるよ」

「どうやって?」

「  のかみの色!きれいな色だもん、すぐにみつけられるんだから」

「じゃあ…」


私はあの子を見つけてあげられる自信があった。

いつだって、どこにいたって。

家族も同然に過ごしてきた  を私が見つけられないはずがない。

これからも一緒に生きて、それぞれ大人になっていくものだと思ってた。



終わりがくるだなんて思わなかった。



子供ながらに私が抱いた淡い未来への希望は儚く消え去ることになる。




「じゃあ…ぜったい見つけてね、ずっといっしょにいてね」




なんで私は、あの時死んでしまったの。


私は  との約束を破ったんだ







  
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