ワールドトリガー

□I'm here...I'll be there for you.
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「この配置図によれば、現在こちらの世界に接近している惑星国家は4つ。

 広大で豊かな海を持つ水の世界
   【海洋国家 リーベリー】

 特殊なトリオン兵に騎乗して戦う
   【騎兵国家 レオフォリオ】

 厳しい気候と地形が敵を阻む
   【雪原の大国 キオン】

 そして、近界最大級の軍事国家
   【神の国 アフトクラトル】 」


(…言われただけじゃあまり想像が付かないわ)


レプリカさんが映し出した惑星国家の軌道配置図。
最初は綺麗だと思って惚けていたがそういうわけにもいかない。
急いで思考を切り替える。

…切り替えたが、正直なところ具体的な想像が付かないのが現状だ。


「その4つのうちのどれか………あるいはいくつかが大規模侵攻に絡んでくるというわけか?」

「断言は出来ない。未知の国が突然攻めてくる可能性もわずかだかある」


「…ぐぅ」

「陽太郎君、頑張って起きていよう?」

「むむむ…」


私の膝の上に乗って話を聞いていた陽太郎君にとってはこの話は難しかったらしく、子供特有の大きな頭がぐらぐらと揺れている。

陽太郎君は会議室に入ってくるなり迷わず私の膝の上に座ってきた。
…ちなみに、陽太郎君が私の膝に座ってからというもの、迅さんからの視線が痛い。


(陽太郎君を膝に乗せたいならそう言えばいいのに)


後で陽太郎君を引き渡す時は迅さんに渡してあげよう。


「今はひとまず、その2国が相手と仮定して対策を進めよう。次に知りたいのは相手の戦力と戦術……特に重要なのは、敵に黒トリガーがいるかどうかだ」


陽太郎君を起こそうと苦戦している間に、どうやら話は大分進んでいたらしい。
いや、ちゃんと聞いていた。
大規模侵攻してくる可能性が高いのは、キオンかアフトクラトルのどちらかだということ。


「黒トリガー……!」


三雲君の視線が、空閑君、迅さん、私の順番に向けられる。
…あと、空閑君からの視線が迅さん同様痛いのは気のせいではないはず。


「我々がその2国に滞在したのは7年以上前なので、現在の状況とは異なるかもしれないが…私の記録では、当時、キオンには6本。アフトクラトルには13本の黒トリガーが存在した」


「なっ…」

「13本……!」


「しかし、黒トリガーはどの国でも希少なため、通常は本国の守りに使われる」


「この国では名前が主軸になっているな」そう言って私の方に顔(…だと思われる)を向けてくるレプリカさん。
そうなの、と言わんばかりの表情で何人かが私の方に視線を向けてきたのは予想外だったが。


「そうですね。私の黒トリガーは防御に特化してますから、国の防衛が殆どで遠征には参加したことがありません」

「いやいやいやいや名前ちゃん!防御に特化って嘘でしょ!?」


若干青い顔で迅さんが何か言ってきたが無視しておいて。


「レプリカさん、お話の続きをどうぞ」

「ありがとう」

「ちょ、2人ともさっきから俺に酷くない?」


これまた無視。


「なので遠征に複数投入されることは考え辛い。多くても1人までだろう」


それから少しレプリカさんからの話は続いた。
話を要約すれば、敵の主力はトリオン兵で、人型近界民は少数だということだ。


「…では、人型近界民の参戦も一応考慮に入れつつ、トリオン兵団への対策を中心に防衛体制を詰めていこう」

最後の締めくくりと言わんばかりに忍田さんが立ち上がって全員の顔を見渡す。

「三雲君。きみは爆撃型と偵察型、両方の件を体験している。何か気付いたことがあったらいつでも言ってくれ」

「は、はい!」

「遊真君達には、我々の知らない情報の補足をお願いするよ」

「了解了解」


「……さあ、近界民を迎え撃つぞ!」



戦争の、始まりだ。


  
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