捧物
□秋の季節
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女「駄目かな…?」
両手を合わせて片目を瞑りお願いのポーズ
秋谷「あ…はい、どうぞ…」
ポケットからGITANESを取り出して一本この女性に渡した
女「ありがとう♪」
女性はその煙草を受け取り口にくわえる
秋谷「………」
俺は黙って彼女がくわえた煙草に火を差し出す
女「あ、ふぅ…どうも♪」
秋谷「………」
なんなんだこの人?
あ、大学生かな?
女「君中学生でしょ…?」
秋谷「えぇ…」
女「煙草なんて吸っちゃって…不良だね」
秋谷「皆の前では優等生なんで」
嘘ではない
女「あら意外」
段々と不信感が募る
秋谷「っていうか貴女誰ですか?」
隣でベンチに座りながら煙草を吸う彼女に問う
女「人の名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀じゃないのかなぁ?」
余裕を含めた笑みで俺を見通す
灰皿に煙草を押し付けて彼女は立ち上がった
秋谷「あ…?」
木の間から抜ける太陽の光が彼女を照らす
初めて人を…いや、女の人を綺麗だと思った
そんな事を考えていたら彼女は立ち去ろうとしていた
秋谷「あ…ちょっと…!?」
彼女は振り返りやはりどこか余裕を含めた笑顔でこう言い放った
女「私、中島 秋(ナカジマ アキ)!!またね、不良中学生♪」
あき…?
彼女はひだまりの向こうへ消えて行った