遥か
□秘密の花園
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リーンリーン
「もうこんな時間か。今日はずいぶん歩いたかな。」
友雅はこんなことをいいながら森の中を歩いていた。
「そろそろ帰るとしようか。………ん?」
友雅の視界に何か入ってきた。友雅は一旦足を止め、森の深くへ歩きだした。
ひらり。
ひらり。
「これは…………。」
友雅の目の前で何かが舞っていた。
「いい場所だ。今度あいつも連れてこよう。」
友雅は嬉しそうに笑うと京の都へと歩きだした。
◆◆◆秘密の花園◆◆◆◆
「はぁっ!!やぁぁっ!!」
私は源頼久。ただ今は武術の修業をしています。
「ふぅっ。少し休むか…。」
私は刀をおさめ、布であせを拭いた。
「頼久………。」
?
今、小さく私の名を誰かが呼んだような……。
すると木の陰に人の気配を感じた。
「誰だ!!姿を表せ!」
私は声を上げ、刀に手を構えた。
「私だよ。頼久。」
そこにいたのは橘友雅殿だった。
「友雅殿。どうし……」
「しぃっ!静かに。連れていきたい場所があるのだよ。ついてきたまえ。」
どうしてこんなに小さな声で喋るのだろう?私は不思議な気持ちでいっぱいだった。