あいのうた
□tears in heaven
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今年の夏も例年通りに、太く短かった気がする。
いつもみたくライブをやって、全国を駆け回って。
「龍一君、会場着いたって。」
慶太の声に眠気マナコを擦り、伸びを一つ。
今日もとても天気が良くて、気を緩めたら眠ってしまいそう。
「うんにゃ、今日も一丁やりますか!」
いつも通りにリハーサルをして、流しをして。
バカみたいに3人で笑いあって。
ここまではいつも通りだった。
「ちょっとさ、俺外出てきていい?」
承諾の声を聞くと汗を拭ったタオルを鞄の上にポンと置く。
早く帰って来いよ〜という涼平の声がクリアに響いた。
「?」
外に出ると、まだ開場まで時間があるのに一人の中年女性と70代くらいのおばあさんが入り口の近くにいた。
ファンにしては高年齢だな、と思いそのときは気にも留めなかった。