[11月5日、金曜日、曇り。]
段々冬の兆しが見え始め、
寒くなってきました。
季節の変わり目なので
体調を崩す人が多いようです。
体調管理はしっかりしましょう。
また、今週の土曜日には模試があるので
その対策もちゃんとして
万全の体制で受けられるようにしましょう。
8:15 教壇の前には担任。
たった今、昨日日直だった人が書いた学級日誌を読み上げた。
これはうちのクラスの日課である。
日誌は名前順なので、
「えーと、昨日の当番が大竹だったから・・・今日は緒方だな。」
担任の視線が私の左隣の机に注がれるが、その机の主はいない。
・・・・これはうちのクラスの朝の名物だ。
「緒方はまた遅刻か?おい千葉、何か連絡は受けなかったか?」
「受けてないっすねぇ、ってかまた遅刻だと思いますけど(笑)」
こんな事は毎日の事なのでもう皆気にも留めていないようだ。
ただ毎朝律儀に出席を取る担任にある意味感心しているだけ。
緒方龍一は、遅刻魔だから定刻に来るわけなんてないですから。
「俺30分遅れに100円。」
出た。クラス恒例の朝の行事、「龍一が何分遅れで来るか賭けようぜ大会。」
もはや来るか来ないかではなく、何分遅れてくるかの世界。
それを決まってし始めるのは橘慶太だった。
「んじゃー慶太がそう言うなら俺は45分遅れに105円(税込)」
そこに便乗するのが千葉涼平。
因みにこの賭けでぴったりと当てたやつは今まで居なかったらしい。
クラス中に笑いが起こった瞬間。
8:30 「いよーっし!!ギリギリセーフ!!」
・・・緒方龍一、15分遅れの登校完了しました。
「なーにがギリギリセーフだ馬鹿者。・・・・まぁ緒方にしては珍しく早いな。」
「そーっすよーぉ!こんなに早く来たのは終業式以来っすよー誉めてクダサイよー先生。」
先ほど賭けをしていたあの二人はと言うと。
「ありえないっ!!龍一君がこんなに早く来るなんて!!!あーりーえーなーいー!明日はきっと台風15号だよ!!あれ?15号ってもう来たっけ?」
「おい慶太、黙って聞いてれば失礼だぞそれ(笑)」
「ってか龍一君さぁ、こうやって毎日毎日俺と慶太に賭けの材料にされてオマエはそれでいーのか(笑)」
「べっつにぃー賭けた金額は俺がぶんどったるから良い!!」
「「えーっ!!」」
「で、幾ら賭けたわけ?俺に。」
「涼平くんが105円。俺が100円。」
「は?!ショボっ!!なんで3桁の世界なわけ?!ってか涼平105円とかめっちゃ中途半端だし!!」
「ショウヒゼイ込めただけだし?」
「込める意味がわかんねぇ!お前らオトコならどどーんと4000円くらい賭けろよ!んなチミチミしてたら男が廃るぞ?!」
「そんなの龍一君が欲しいだけでしょーお金。」
「そんなに言うんなら俺と涼平くんが賭けたお金、龍一君にあげないからね!」
「うぁーごめんって!!」
・・・・・うちのクラスの仲良し3人組です。
ぎゃいぎゃいうるさい三人衆を宥めた後、律儀にも担任は。
「で、緒方何で今日は遅刻したんだ?」
クラス中が「ボケろよ」とでも言わんばかりに龍一にボケを期待している。
「はい!!自転車に乗り遅れました!!!」
「電車じゃねぇのかよ!」
「オマエ、自転車様を舐めんなよ涼平!!自転車に乗り遅れるとなぁ・・・」
「あーもうはいはいわかった!うるさいよ龍一君。」
「自転車を笑うやつは自転車に泣くぞ!!」
期待通り、自信満々なボケをした龍一にクラス中が爆笑の渦に巻き込まれたのは言うまでも無い。