ケが恋しくも、過ごすはハレの日々

□ケーキとスート
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お外は真っ暗、外灯だけが頼りの時間。
とはいってもまだまだ寝るには早い時間なのに珍しくお隣の家の電気は全くついてません。
なんでかって言うと唯一お隣さん家にいるはずの人物がうちのリビングのソファでケルと一緒に体操座りをしてテレビをみてるから。

「ネロー、そんな借りてきた猫みたいにならなくてもいいでしょ?」
「…なってない。」
「なってる。
 というわけでケルベロスは没収ー。」
「なっ!おい、返せ!」
「やだ。」

居心地悪そうにソファの上で縮こまっているのは言わずとも知れたスパーダさん家の末っ子、ネロ。
今日から一泊二日で夫妻が結婚記念日の旅行、双子のお兄さん達は大学で研究の真っ最中で本当なら一人でお留守番だったんだって。
でも…エヴァさんは絶対にネロに家の鍵を渡さなかったの。

「ん〜…ネロにドジっ子要素もあったなんてねー。」
「ドジ…なんだそれ?」
「究極の末っ子気質だってこと。」

なんと何でも出来そうなこのネロ君は家事というか生活スキルが壊滅的なんだって。
料理だとレンジでチンするだけだっていうのに何故か黒煙が上がる始末になったり、包丁を握れば必ず手を切っちゃったり。
洗濯物だと柄ものと白いものを混ぜるのは当たり前、お決まりの如く洗剤だと思ったら漂白剤を入れたりする。
掃除だったらあちこち水浸しにして掃除の箇所を増やすし、花瓶を落として割るというオプションまで付いてくるらしくて
……本当、すごいらしいんだ。

という訳でそんなネロを置いておくわけにはいけないと家族の皆さんで話し合われた結果。
お兄さんのところに強制連行の上、大学で寝泊まりって事にしたらしいんだけど…。

『せっかくの連休なのに学校にいるの?
 それならうちに来ればいいじゃん。ねー、お母さん。』
『そうねぇ。でも…うちは女所帯だからネロ君がいいならだけどね。』

つい先日お母さんとお隣さん家にお邪魔した時にそれを聞いて
"いつもお世話になってますし、先週なんかお泊りさせて貰ったんだから面倒を見ます!"ってこうなりました!

「ふふふー♪」
「なんか随分と機嫌いいんだな。」
「当たり前でしょ、ケルがウチにいるんだよ!
 今夜は一緒に寝ようねー?」
「ワフ!」

お泊りの時に一緒に寝てからはふっかふかで気持ちよくって抱き枕になってくれるケルベロスにすっかりメロメロ。
今夜はネロからケルベロス奪う気満々なんだよね。
おっと…それはいいけど

「そうだ、ケルベロスがいなくて寂しいからって私の部屋に来ちゃダメだよ?」
「だ、誰が行くか!頼まれたって行かねぇから安心しろ!」

顔を真っ赤にして怒鳴ったネロは私からケルベロスを奪ってまたTVの方へ。
行くわけがない、行くわけがない…ってずっと呟き続けてるのがすごく気になるけど

「お風呂の準備してくるね。」
「…わかった。」

とりあえず私の日課、お風呂を入れることにしたんだ。 
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